2022年 注目のアイドル

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「2022年に期待するグループアイドル 10選」

最近は、人気・知名度を問わず、過去に書いたアイドル評への追記にちからを入れている。アイドルとはぐんぐんと成長するものだから、アイドルを語らう以上、それを追いかけなければならないし、加筆も避けられないだろう、と。とはいえ、「アイドルの値打ち」もサイト立ち上げから3年が経ち、批評したアイドルの数は270人に達した。あたらしい批評を書きつつ、さらに過去のアイドル評を一つひとつ読み返す、というのは現実的ではなくなってきた。そこで、すこしだけ未来の自分に向け、今の自分が特に注目している、期待しているアイドルを記録しておこうとおもった。半年後、あるいは一年後、過去に自分の気を引いたアイドルがどのような変化・成長を遂げているか、その材料となるメモを残しておこうと考えた。

2022年に注目するアイドル、とタイトルに付したが、これは、今年アイドルとして成長した人物、と換言すべきかもしれない。今年一年、目覚ましい活躍を記した、あるいは力強い飛翔を描いたからこそ、次の年に期待がかかるわけである。もちろん、目立った行動は起こしていないけれど、静かな、しかし力強い胎動を伝えるアイドルもいる。
今回は、個人的に期待感を寄せている10人のアイドルを、2022年の注目株として紹介する。


林美澪(C)日刊スポーツ

林美澪、SKE48の第10期生。
グループの特色と合致するアイドルがあたらしい主人公として名乗りをあげた。このストーリー展開一点だけとっても、胸が高鳴る。しかもそれは松井珠理奈を先頭にして培った、発展途上のもの、ではなく、松井珠理奈の卒業によって完成した色である。作詞家・秋元康をして「あの頃の君を見つけた」と言わしめたのだから、同業者からの評価・期待も高いのだろう。
今日、SKE48のイメージを尋ねられたとき、アイドルファンはどのような答えを用意するだろうか。好意的にしろ、否定的にしろ、ある種の「特質」を表現するのではないか。林美澪はその「特質」と合致するアイドルである。一度通り過ぎてしまった過去のファンを、振り返らせる希求力をもっている。ただ、そうした感慨を前にして、いずれアイドル本人が窮屈に感じ古い枠組みから脱しようとするのだろうし、ファンもまたそれを望むのだろう。過去を想いつつ、しかし眼前にはたしかな未来がある、という現在のアイドルシーンが掲げる命題とも強く呼応している。注目に値するアイドル。


小越春花(C)小越春花 公式Twitterアカウント

小越春花、NGT48の第2期生。
6枚目シングル『Awesome』においてセンターに立った。NGT48では5代目のセンターとなる。6枚の表題作で5人のセンターを排出している、という点からわかるとおり、このグループはとにかくコロコロとセンター=主人公が変わる。しかし年末に発売される7枚目シングル『ポンコツな君が好きだ』のセンターには再び小越春花の名が告げられ、続投が決まった。前作の活動期間を通し作り手の内で手応えがあった、ということなのだろうか。あるいは戦略を変えた、にすぎないのか、わからないが、NGT48の物語にはじめて強い主人公が描かれるのではないか、小越は高い期待感に包まれている。
このひとの魅力を一言で云うならば、AKB的王道さ、と云えるだろう。しかもそれは、現在のAKB48が振り捨ててしまった王道さ、である。センターを特別な場所、目指すべき場所と捉え、それをはっきりと言葉にしてファンに伝える。そしてそのとおり、宿命的にそこに立ってしまうという、文句なしの成長物語を小越春花は記している。彼女は、オーディションの日を振り返り、導かれるようにして会場に向かった、落ちる気がしなかった、と語っている。そうした過剰な万能感が空振りせずに、しっかりと夢の舞台での飛翔に役立てられているのだから、なかなか稀有な、強者に見える。


向井葉月(C)向井葉月インスタグラム公式アカウント

向井葉月乃木坂46の第3期生。
成長をしたアイドル、活躍したアイドル、これは評価しやすいし、見つけやすい。けれど、成長しようと悶える、過去を断ち切り変わろうとするアイドル、これはなかなか見つからない。そういう決意を言葉にし、かつ、アイドルの物語としてあらわせる人間は極端にすくないからだ。現在の向井葉月は、変わろうとする意識をしっかりと表示し、そのとおりに行動している。もちろん、そうした思惟を掲げるアイドルはほかにもいるが、向井がおもしろいのは、グループの直近の表題曲のテーマと合致している、という点だろう。『ごめんねFingers crossed』において、過去も大事だが未来はそれ以上に強く輝いているのだ、と歌い、『君に叱られた』では、他者の働きかけによって過去の自分の弱さどうしようもなさに気付かされた、と少女たちは歌った。そうしたグループのメインストーリーに沿うようにして、向井はアイドルの物語に転換点を刻んでいる。つまり変わることをあくまでもアイドルの物語として映している。先日開催された東京ドーム公演において披露した、『きっかけ』を歌う向井には、楽曲の世界観に従いつつ自分のイロを出そうとする、強い意志を感じた。なによりも、アイドルの表情に艶が出てきた。今後、どうなるのか、興味深い存在。


小熊倫実(C)ウォーカープラス

小熊倫実、NGT48の第1期生。
不思議なアイドルである。ビジュアルや踊りに、ではなく、アイドルの佇まいそのものに言葉では説明できない魅力が宿っている。存在感がある。存在感、これは乱用すべきではないが、そう表現するしかない。ステージのどこで踊っていても、目を引く”なにか”がある。なんだかわからないけれど気になってしまう……、アイドルの携える得物としてこれ以上のものはないだろう。正統的な、叩き上げのアイドルでもあるから、センターへの憧憬も強い。言葉どおり、目が離せないアイドル。


久保史緒里(C)モデルプレス

久保史緒里、乃木坂46の第3期生。
もうほとんど評価のかたまったアイドル、といった印象だったが、そんなことはないようだ。このひとの魅力はこれこれこういうところにある、というイメージからアイドルがどんどん離れていくような、底知れないものがやはり久保史緒里にはある。とくに最近は、楽曲を演じることの方向・視点に力強さが出てきたように感じる。生田絵梨花の背中を見つめる、ではなく、生田絵梨花の正面に立つ、という意識が出てきたようだ。
最後のTight Hug』のミュージックビデオを眺めていておもうのは、久保史緒里の所作の洗練である。アイドルの動きの一つひとつが澄んでいて、美しく、森の中で妖精たちが舞い踊るその世界に浸透している。これを発見できたのは自分だけだ、とファンに妄執させるような魅力をこのひとは纏っている。


藤吉夏鈴(C)モデルプレス

藤吉夏鈴、櫻坂46の第2期生。
映像演技、とくに口語演劇において遠藤さくらにならぶ逸材であり、また踊りに関して云えば平手友梨奈以来の大器だが、2021年は前年と比較すると露出が抑えられたように感じる。このひとは、その佇まい、横顔を眺めると、芸術家気質の人、に見える。アイドルの描き方、空気感がきわめてアーティスティックである。うつむきがちで抑制された雰囲気をもつが、表現したい、と考えたものが衝動的に身体の動きにあらわれているように見える。この「藤吉夏鈴」を先頭にする、これはやはりエンターテインメントとしての「アイドル」を考え戦略を立てる際には躊躇を生むのだろうか。
一作でいいから、表題作のセンターに立つ場面を見てみたい、と想わせるアイドル。


和田まあや(C)ウォーカープラス

和田まあや、乃木坂46の第1期生。
すでに、アイドルへの視点・熱量が、何時アイドルを卒業するのか、という話題に占められている。だがここにきてアイドルの演じ方に彫琢がでてきたようにうかがえる。ベテランだから、確かな実力をもっていることは間違いないのだが、アイドルの見せ方つまり楽曲の演じ方に”やつし”が出てきたようにおもう。10年、日常を演じることに徹した人間でなければ表現できないこと、のようなものが出てきた。たとえば、青春と同等の価値を見出し打ち込んできたものに、ついに寂寥を見出してしまうという屈託を歌った『泥だらけ』の詩情ともっとも近く通い合うのが和田まあやであり、つまり和田でなければ表現できないことがグループの物語のなかに確かにある、という状況が眼前に置かれてしまった。であれば、当然、今後に注目すべき人物、注目せざるをえないアイドル、ということになる。


筒井あやめ(C)RBB TODAY

筒井あやめ、乃木坂46の第4期生。
次世代のエース候補=センター候補として常に強い存在感を打ち出してきたが、遠藤さくら、賀喜遥香の飛翔に比して、やや置き去りにされてしまった感がある。素顔がいまいち見えてこないアイドル、という声も聞く。そのとおりなのだろう。ただ、鑑賞者に素顔の遠さを想わせるアイドルとは、日常の演技から遠ざかった存在であり、それはつまりウソ偽りのない素顔が提示されていることにほかならない、と唱えることも、もちろんできる。そうした日常に潜む「違和」を、神秘的、シリアスと言えば聞こえは良いのだが。いずれにせよ、アイドルの資質そのものを問えば、遠藤さくら、賀喜遥香の両名に比肩する魅力をもったメンバーであることは間違いない。このひとは、踊りが別格に上手い。ステージの上では、言葉の真の意味で端倪すべからざるアイドルである。最近では、そのステージの上で語ったアイドルの素顔が、日常の端々に姿を現すという、ある種の倒錯(しかしこれがアイドル本来のあり方なのだろう)が起きつつあり、ファンは彼女のほんとうの素顔を発見しつつあるようだ。であれば、近い将来、「現在」を凌ぐ活躍、希望をみせてくれることだろう。


小坂菜緒(C)週刊プレイボーイ2021-26号

小坂菜緒日向坂46の第2期生。
アイドルの世界から脱するのか、アイドルの物語を延伸するのか、去就が注目されている。現在のアイドルシーンで最高度の存在感をもったメンバー=主人公であるから、当然だろう。アイドルを卒業するにしても、アイドルの物語を延伸しセンターに返り咲くにしても、しばらくのあいだは注目を集め、話題を独占することだろう。もちろん、個人的に注目するアイドルの一人にかわりない。
彼女の去就は、2022年で一番ホットな話題になるはず。


賀喜遥香(C)オリコンニュース

賀喜遥香、乃木坂46の第4期生。
今年もっとも飛翔したアイドルであり、2022年、もっとも期待・注目するアイドルである。
過去の恋人たちを想いつつ、あたらしい恋人の魅力を知っていくという物語を歌った最新作『君に叱られた』において、グループのあたらしい主人公=シンデレラとしてスケッチされた。安易に美少女と形容するには躊躇する、精悍さ素朴さ、儚さ脇の甘さ、荒々しさと弱々しさ、つまり凡庸と表現するしかない未成熟な少女が、燦然と輝くステージの中央に引き上げられるというシンデレラストーリーを描いたことでグループアイドルの価値を知らしめ、かつ、その価値を底上げした。夢をつかんだ一人の少女を眺めることでその幻想の世界の魅力を知っていく、という構図は、衰退・索漠の色の濃いシーンにあって「希望」に映る。その新しい「希望の物語」の主人公となった賀喜遥香に注目してしまうのは、これはもう退けることのできない希求と云えるだろう。

 

2021/11/27  楠木

   

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