2019年もっとも読まれたアイドル批評
「平成が終わり、令和が始まる」
平成が終わり、令和が始まった2019年。時代の節目に引き寄せられるように、数多くのアイドルが物語に幕を閉じた2019年。「アイドルの値打ち」も平成と令和の境界線を渡り、開始から一年が経ちました。サイトの性質上、落書きに終始するだろうという楽観からはじめましたが、アイドルシーンへ没入するファンの多さ、応援するアイドルへの興味に対する活力の提示に日々、驚いています。当初想定していたアクセス数を上回る読者の訪問があり、アクセスの多い日には、一日に1万pv近く記録する日もあるそうです。真っ白な壁に向かって一人、ただ落書きするだけの行為に終始する”はずだった”趣味としては、贅沢な数字と言えるのではないでしょうか。
現在、サイトの管理は知人に任せきりですが、アイドルの値打ちを「はてなブログ」で書いていた頃の最初の驚きは今でも鮮明に覚えています。10pvにも満たない日が当たり前の頃、「峯岸みなみ」の記事がスマートニュースに載り、500pvを記録しました。その数字を眺めることで、アイドルファンの存在をたしかに実感できたのです。その後、SNSへの投稿で「松井珠理奈」の記事がピックアップされ、ブログへのアクセス数も過去最高を記録したのを記憶しています。それは同時に、SNSの魅力、不気味な魔力というものに触れることのできた瞬間でもありました。
現在ではサイトへの流入の9割が検索サイト経由であり、SNSでの話題がまるでコップの中の嵐のように感じるほど、その圧倒的な筐体の見せつける可能性には、思わずたじろぐほどです。
2019年にもっとも読まれたのは乃木坂46の大園桃子の批評でした。要因としては、本人のアイドルとしての魅力は問うまでもなく、やはり点数を最高評価にしていること(一覧ページの最上部に表示している)、それから、海外のアイドルファンの訪問数がもっとも多いアイドルである点、この2点が挙げられるでしょうか。
2位の西野七瀬の記事は卒業後もコンスタントにアクセスがあり、関心のたかさにあらためて驚かされています。
3位には与田祐希、彼女も目の離せないアイドルになりました。
平手友梨奈を除けば、すべて乃木坂のメンバーが並ぶという点も、現在のシーンをよく現した結果だと感じます。
「2019年もっとも読まれたアイドル 10人」
※集計には Google Analytics Ranking を利用しました。
小説の登場人物を描写するようにアイドルを形容することは容易だけれど、それに説得力をもたせることはむずかしい。自分の応援するアイドルを唐突に批判され、そのまま去って行く人は多いだろう、と想像します。今現在「アイドルの値打ち」に対し、つまりアイドルに点数を付けるという行為に対し、好感触がある、あるいは傍観的に見れる、というファンも、いざ自分の応援するアイドルへの批評が行われた際には、それが見当違いの批評=フィクションであったら、もうこのサイトに訪問することはないだろう、という期待と不安を、胸のどこかに秘めているはずです。もちろん、その「期待と不安」は筆者自身にもある。しかしこの感情こそ「批評」の体験なのです。
アイドルシーンが大衆から揶揄を買う一因に、真に批評と呼べる言葉にアイドルとファンの双方が出会うことがないという不遇がある。たしかに、アイドルとは無条件に愛するものだと唱えるその声に反撃することはむずかしい。そうした無償さが今日のアイドルの魅力を象っていることは、疑いようのない事実だからだ。けれど、そうした無償さを利用し、メディアを通して文章とはとても呼べないたぐいの言葉を発信する人間たちがアイドルの価値を貶めていることもまた、事実だ。2020年も、この現実に卵を投げつづけようとおもいます。
2019/12/27 楠木