乃木坂46 吉田綾乃クリスティー 評判記

乃木坂46

吉田綾乃クリスティー(C)Cocotame

「おひとりさま天国を満喫する」

吉田綾乃クリスティー、平成7年生、乃木坂46の第三期生。
掴みどころのないアイドルである。掴めない、と言うよりも、あえて掴ませない、と見るべきか。

いずれにせよ、この人の核心が見えない理由は以下の2点に集約されるだろう。
乃木坂の3期という華の世代に与する幸運をもちながら、また、8年という、長い活動歴をもちながら、紙媒体、web媒体を問わず、メディアにおける情報量がきわめて乏しい点。
最年長者として、言葉に意識的で、読み応えのある日記を書ける数少ないメンバーであり、とりわけ秋元康の編み上げる音楽の世界観のなかで自分というものを表現するのが上手く、文章の魅力においては、齋藤飛鳥に次ぐ才能を有しているのにもかかわらず、そこにモチベーションを向けない点。
要するに、わたしのことは、わかる人にだけ、わかればいい、という、心地の良い場所に一貫して引きこもっている所為で、グループアイドルがもっとも儚く、可憐に映し出される瞬間、闘争に舞うその美しさを、一つとして描き出せないから、話題にならないし、人気も出ないのだろう。
見方を変えれば、アイドルとして「おひとりさま」をつき通すメンバーだと云えるわけだから、この点においても秋元康の世界観に忠実に、凡庸に、囚われ自己を表白している。「おひとりさま」をポジティブな言葉へと歌い踊り変換させ「おひとりさま天国」を浮かび上がらせた乃木坂にあって、アイドル自身がだれよりも「おひとりさま」を満喫している点は、もはや苦笑するほかないのだが。
ファンの声量がアイドルの人気を決定づけると深く確信してしまった人間の隘路、と見立てることも可能だが、この点はいかにも今日のアイドルらしい屈託・憤りに思う。自己の行動力次第でいくらでも世界の見え方が変わる、可能性が広がるということを、アイドルでありながら実感することができない。そんな少女でシーンは溢れかえっている。吉田綾乃クリスティーの場合、それを言葉では理解していても、実景にしてみせることが未だにできていない。この点は、これからの乃木坂を先取りしていると云えるかもしれない。

 

総合評価 55点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 11点 ライブ表現 11点

演劇表現 14点 バラエティ 7点

情動感染 12点

乃木坂46 活動期間 2016年~

2024/05/06  本文を一新しました