乃木坂46 斎藤ちはる 評判記

乃木坂46

斎藤ちはる(C)モデルプレス

「情動に欠いた、月並みなアイドル」

斎藤ちはる、平成9年生、乃木坂46の第一期生。
実力者、と呼ぶべきか。アンダーライブという独特な空間で鍛えあげた歌唱表現力を下敷きにして、安定感抜群のアイドルを作っている。ルックスに関してならば、平均を凌ぐ端麗さを誇る。それはたとえば、松村沙友理と同等の、年齡を重ねながら美しさを増していくような、きわめて恵まれた資質を持つことを想わせる、端麗さ、である。とはいえ、松村沙友理の飛翔に比して、斎藤ちはるのアイドル人気・知名度はお世辞にも高いとは言えない。シングル表題作の歌唱メンバーに選抜されたのは、生田絵梨花がはじめてセンターに立った『何度目の青空か?』の一度のみ。デビューから10作目までアンダーとして過ごし、『何度目の青空か?』以降、卒業するまでまた10作品、アンダーとして活動した。それはなぜだろうか。それを端的に云えば、彼女の美=ビジュアルには人を惹きつけ魅了する”なにか”が決定的に欠如している、となるだろうか。
その”
なにか”を平易に表現するならば、人間味、とあらわすべきか。もちろん、斎藤ちはるに人間味がないとは思わない。斎藤ちはるは、アイドルとして”生きること”の感情を、文章を用いて、ファンの前で日々、繰り返し大胆に吐露し、自身の心の裸を見せようと、果敢に行動している。通常であれば、一ヶ月に数回、早くても一週間に一回、更新されるアイドルのブログ・コンテンツのなかにあって、ブログを毎日更新するという、あたえられた境遇のなかで何ができるのか、考え、奔走し、チャレンジしている。けれど、まったく人気が出なかった。なにかの物語の主役に選ばれることは一度も叶わなかった。自己の内に秘めた「想い」をファンに伝播させる発想力、自身のこころの深い部分に読者を手繰り寄せるだけの握力が、彼女には決定的に不足していた、ようだ。月並みな努力だけでは、ファンに自身の素顔をつかませることはできない、つまり「アイドル」は大成しない、ということなのだろう。あるいはただ単に、矢継ぎ早に、大量に自身の情報を提出した結果、このアイドルには魅力がない、と素顔の平板さをファンに看破されてしまっただけの話かもしれないが。

 

総合評価 52点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 13点 ライブ表現 12点

演劇表現 10点 バラエティ 12点

情動感染 5点

乃木坂46 活動期間 2011年~2018年