STU48 石田みなみ 評価

STU48

石田みなみ(C)stu48.official*/instagram

「乱れる心」

石田みなみ、平成10年生、STU48の第一期生。
透き通った「色彩」を持つアイドル。四角い黒の鞄が籠に入った自転車にまたがり山道を疾走する、まるでアニメーション映画のワンシーンのような透明感。革靴と靴下を脱いで、それを両手にぶら下げ、木漏れ日で黄金色に染まった川のせせらぎのなかを裸足のまま不安定に歩む少女のように透き通っており、”もし彼女が乃木坂46に加入していたら”というアナザーストーリーを投げつけられるアイドルのなかでも、この石田みなみはそのようなファンの妄執にたえ切る清楚をそなえている、と感じる。彼女のおもしろさは、その生来の「色彩」が感情の乱れによっておおきく揺れ動く場面をファンのまえで惜しげなく描ける点だ。

気分と感情は違う。感情には理由はあるけれど、気分に理屈はない。

福田和也「福田和也の文章教室」

石田みなみ、彼女は気分ではなく感情で会話をするアイドルだ。
石田みなみの「対話」には、一回性が放棄されており、他の多くのアイドルがみせる「会話」と隔たりをつくる。彼女に「言葉」を投げかけても、納得できる、満足できる言葉は一度目では返ってこない。あるいは、最後まで満足する言葉は返ってこないかもしれない。二度、三度と同じ話題が続く。ファンが満足するまで続くのではなく、石田みなみ本人が納得するまで続くのである。そして、この点が一番重要なのだが、石田みなみはそれを決して議論の域には踏み込ませない絶妙なバランス感覚を持っている。おそらく、この距離感の作り方が石田みなみというアイドルの”イロ”になるのではないか。
アイドルと会話を試みるファンは、意を決して、アイドルが作り上げた幻想のなかに足を踏み入れる訳だが、石田みなみというアイドルの場合、踏み込んだその先にアイドルは立っていない。アイドル・石田みなみは、幻想=フィクションの少し外側に立っている。そこはアイドルを演じる少女の素顔が置かれた空間。ファンはそのような繊細な場所で交錯していいものか、逡巡する。フィクションを前提とした会話に石田みなみは極めてリアリティーなシニカルを投げ返すのだ。だからファンは戸惑う。自分が言葉に込めた感情とは、あくまでもフィクションを前提とする、共通了解のうえを歩くのだから、虚構の外側から笑いかける”彼女”には届かなかったのではないか、と落ち込む。そして、それを誰よりもはやく察知するのが石田みなみ本人であり、生まれた誤解を、食い違いを解消しようと上下左右、彼女は忙しく感情を揺らし心を乱すのである。それが、その様子が痛々しくもありながら、言い様のない親近感を抱かせるのは、ファンが彼女の立ち居振る舞いのどこかに自分と似た「匂い」を感じとるからだとおもう。人は誰しも、自分自身を世界の主人公とまではいかないが、他者とは決定的に違う、大衆と隔たった存在、つまりとくべつな登場人物だと意識的にしろ無意識にしろ確信を懐き生活している。だからいつも誤解される。自分の気持ちが何ものかに打つかることなく、伝えたいと想う心に届くなどという場面は、到底、想像できない。そういった自己の心の内奥に堆く積み上がった寂寥を、ファンは、石田みなみの仕草から感じとっているのかもしれない。

 

総合評価 67点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 14点 ライブ表現 13点

演劇表現 12点 バラエティ 14点

情動感染 14点

STU48  活動期間 2017年~

2020/08/17 加筆しました

 

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