乃木坂46 黒見明香 評判記
「ペネトレーター」
黒見明香、平成16年生、乃木坂46の第四期生。
姿勢の良さ、という意味での”乃木坂らしさ”をもっとも勤勉に、誠実に受け継いでいる。
真面目なアイドルの特徴に、ただ努力しているだけにしか見えない、という退屈さがあるが、黒見明香の真面目さとは、思い込みの強さ、であり、その思い込み＝純粋さが一般社会から少しズレた生活感をもつ人というイメージを作り出し、それが一種のお嬢様感へとつながり、乃木坂らしさに循環している。幼少の頃、ハッピーベイビー、と呼ばれていたらしい。”福”をもらいに、住民たちが彼女のことをよく眺めに来たのだとか。
黒見の魅力は、お嬢様感＝一般社会から少しズレた生活感がもたらすユーモアにあり、ファンだけでなく同業者の多くからもユーモラスな人として親しまれている。純粋さをそなえた少女がアイドルの世界に飛び込むことで、生来の純粋さが失われる、のではなく、様々な人間とかかわり合い、様々な出来事を通して少女の純粋さが明るみに出され抱擁されていく光景は、乃木坂46というアイドルグループの醍醐味を教えてくれる。
純粋であり諧謔(かいぎゃく)に満ちた人と言えばまず齋藤飛鳥を思い浮かべるが、黒見のユーモアには齋藤飛鳥と共鳴するミスティフィカシオンがあるかに見える。たとえば『ジャンピングジョーカーフラッシュ』のミュージックビデオの序盤に描かれた、カメラを凝視し笑う黒見には、アイドルとしてのキャラクターを演じているのか、それともただ純粋に笑いかけているだけなのか、判別することのできない不思議さがある。
その不思議さは日常における行動力としても存分に発揮されている。たとえば、5期生との交流が顕著だろう。凡庸なアイドルであればあるほど、才能豊かな新人の登場を目の当たりにした際には、卑屈になったり、落ち込み殻に閉じこもってみたり、なにがしかの反動を宿し自身の魅力を損なってしまうものだが、黒見明香はちがう。この人はだれよりもさきにその輪の中に飛び込み、兵(つわもの)たちを味方に引き入れている。やはり、凡人にはない資質、容易に理解することのできない魅力がそなわっている、とするしかない。
スタイルが良く、ジャージ姿でも、制服・衣装を着ていても、そのシルエットのバランス感覚には目をみはるものがある。凝り固まった上位集団に割って入る、カタルシスへの予感に満ちている。
総合評価 65点
アイドルとして活力を与える人物
（評価内訳）
ビジュアル 14点 ライブ表現 11点
演劇表現 13点 バラエティ 14点
情動感染 13点
坂道研修生 活動期間 2018年～2020年
乃木坂46 活動期間 2020年～
