乃木坂46 堀未央奈評判記

「タロットカードに描かれた黒猫のよう」

傷みは他人事。例外的に幾人かのお人好し連中は同情するかもしれないが……。
…何が美しいのか、美しくないのか……その美的価値基準を他者から押しつけられることに彼女は大胆にも断固として抵抗しようというのだ。

中原昌也 / あらゆる場所に花束が……

堀未央奈、平成8年生、乃木坂46の第二期生であり、3代目センター。
『バレッタ』で鮮烈なデビューを飾るも、尻窄みになってしまい、デビュー時をピークとする、きわめて早熟タイプのアイドルに映る。だが、物語の量は多い、そして質もある。タロットカードに描かれた黒猫のような容貌をしたアイドルの素顔には計り知れないものがある。
西野七瀬、白石麻衣、生田絵梨花、星野みなみ、そして齋藤飛鳥と、1期の存在の大きさの陰に隠れて、グループの物語の表舞台に立つことはほとんどなかった。とはいえ、SKE48と乃木坂46を兼任した松井玲奈の礼儀正しさ、アイドルを演じる姿勢の良さ、つまり「清楚」を他の誰よりも模範とし、アイドルを演じるうえでの土台としたのが他でもない堀未央奈、彼女であり、以降、松井玲奈の「血」は乃木坂46の通史のなかで連綿と受け継がれて行くことになったのだから、やはり堀の貢献度は計り知れない。
計り知れないのは容貌だけではない。この人はとにかく、言動の不一致、をさらすアイドルで、それを指摘するアンチとの奮闘の劇は、良くも悪くも、シーンに話題を提供した。おもしろいのは、そうした醜態をかさねていくことで、つまりアンチに目ざとく自身の言動の不一致を明らかにされてしまうことで、アンチに向ける執念が、美への執念へと取り替えられ、美の追究に陥ってしまった点である。デビュー当時の堀未央奈を眺めれば、個性豊かなビジュアルをそなえた逸材であることは一目瞭然だが、卒業を迎え花束を抱える堀未央奈の横顔には画一した美しか備わっていないこともまた衆目の一致するところである。

総合評価　65点

アイドルとして活力を与える人物

（評価内訳）

ビジュアル　11点　ライブ表現　12点

演劇表現　13点　バラエティ　14点

情動感染　15点

乃木坂46　活動期間　2013年～2021年