小越春花が「センター」になってしまった

NGT48, ブログ

(C)小越春花755公式アカウント

「記事をアップするタイミングはとてもむずかしい」

乃木坂46の「ごめんねFingers crossed」を聴いた感想、をふらふらと書いていたら、おどろくニュースが入ってきた。NGT48が約1年ぶりのシングルの発売を発表し、その「センター」に2期生の小越春花(おごえはるか)が立つらしい。正直、意外だった。
とはいえ、当記事のタイトルに付した、小越春花が「センター」になってしまった、の「しまった」とは、個人的な事情を理由にしたショックであり、アイドル本人とシーンに向けた感慨ではない。私が本格的にNGT48のアイドルの記事を書き始めた際に定めた終着点が「小越春花」であり(現時点では、2期生すべてに点数をつけるのはむずかしいと考え、2期のなかでも存在感のある少女の3人として小越春花、川越紗彩、羽切瑠菜をピックアップし、もっとも強い可能性を示す小越春花をゴールと定めた)、『絶望の後で』を聴きながらNGT48のアイドルの記事を書くことは、小越春花を次世代の主人公と目し、そのストーリを妄執し構築する行為でもあったため、その目論見がある意味では裏切られてしまった、という意味での「しまった」である。NGT48の1期生、ドラフト3期生の批評を終えて、2期生の羽切を書き終え、残すは小越春花、川越紗彩という段階にたどり着いたところで、センター・小越春花の報が届いてしまった。つまり計画が崩れてしまった、というだけの話。

小越春花への批評の書き出しは決まっていて、”グループの「センター」へと成長する可能性をもっている。”とする予定だったのだが、そのような目論見をあざ笑うかのように、アイドル本人がものすごいスピードで、あっさりと(あっさりと、と云ってしまうと語弊がうまれそうだが)「センター」になってしまった。
正直、私の予想では、次作の「センター」は本間日陽になるはずで、センター・小越春花の誕生はどんなに早くてもその次のシングルになるだろうという青写真を持っていたが、あっさりと裏切られてしまった。小越を、次世代の希望としての登場人物と扱い、文章を書き溜めてきたため、こうなるとその大部分を書き直さなければならない。とくに新曲やそのミュージックビデオを情報として取り込み妄想の飛躍を準備しなければならない。

ただ、いまおもうのは、センターポジションに選ばれる少女というのは、結局、誰が見てもそれだけの可能性を示している、という事実である。考えてみれば、小坂菜緒だって、森田ひかるだって、はじめてファンのまえにその姿を現したときから、「センター」への強い予感を作らせている。とくに、森田ひかる、このひとはもう誰が見たって物語の主人公になる逸材感を持っていて、ファンを前にした際の立ち居振る舞いひとつとっても文句なしにそれを教えている。
一方で、小越春花の場合、正直に云えば、デビューした段階では、小坂や森田のような存在の証明を投げつけていない(そもそも、このふたりの少女に小越春花が並び立ったという展開にとびきりのワクワクさがあるのだが)。事実、NGT48の次世代の少女の群像をスケッチした『今日は負けでもいい』においてもっとも強い主人公感を投げつけたのは羽切瑠菜であり、その圧倒的な横顔を前に、小越は強い登場人物になりきれていない。だがこの点に、つまりある種の天分に敗北するも、結果的にかならずそれを超えてくるだろうという蓋然を備え持つ点に小越春花というアイドルの本領がある。彼女のストーリー展開は、実にAKB48的である。彼女は言葉にきわめて意識的なアイドルであり、日々、「センター」になりたいと口に出し、希望を手に入れるための試練への共闘を常にファンに呼びかけるといった物語を作っている。あるいはそれはAKB48的であるゆえに、ありふれた、見慣れた物語の作り方、と云われてしまうものかもしれない。それでもなお、少女が日々口に出して唱える「夢」が現実のものとなった際の興奮にはやはり格別な香気があるようにおもう。とにかくこの少女は、自分の眼の前に立つ人を楽しませる、笑顔にする、という説得力のあるアイドルを描いており、自分の置かれた境遇のなかでなにができるのか、考え、行動している。これはおそらく坂道シリーズにおける「アイドル」の作り方とは決定的に径庭したものであり、つまり、坂道シリーズとは異なる地平に立つアイドルの物語でありながら、桁違いのかがやきを放つことができる、という点に、AKBグループの希望を見出だせるのではないか。こうした教養小説的なストーリー展開、言葉の最高の意味におけるアイドルとの成長共有によってAKB48は多くのファンを魅了したのだ、というところに小越春花の横顔は想到させ、証すのだ。
いずれにせよ、「センター」に成ったことで、彼女はこれまでとはまったく異なる「自分」を発見していくだろうし、どこか素顔を隠しているように見えるその勇敢で冷めた表情を持つ「アイドル」が否応なく傷めつけられ、今いる場所からの移動を余儀なくされるだろう。今後の展開に目が離せないアイドルだ。

2021/05/08  楠木

 

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