AKB48 上遠野瑞穂 評判記

「らぶどる」
上遠野瑞穂、平成3年生、AKB48の第七期生。
かとおのみずほ、と読む。今日では、シーンにのめり込むコアなアイドルファンに上遠野瑞穂(愛迫みゆ)の名を訊けば、それは、『愛乙女☆DOLL』のメンバー、となるのだろうか。体調不良、学業専念を理由に、わずか半年(劇場でファンの前に立ってからならば3ヶ月)でAKB48の活動を辞退しているから、当然と云えば当然である。
当時のAKB48よろしく、いわゆる内部オーディション、セレクション審査にてアイドル不適正の烙印を押されてしまった、というわけではないらしい。ただ、当時の彼女を眺めてみると、新人とはいえさすがにこれでは……、と鑑賞者のこころを挫けさせるほど笑顔の硬直が目立つ、ありふれた、凡百のアイドルであることには違いなく、正直、幻想的なイメージを一切もたない。もし、セレクションで落第した、と告げられたら、疑う余地なく信じてしまうだろう。とはいえ、おそらくは、わずか数回のアンダー出演でありながら、劇場に足を運んだ当時のコアなファンにそのパフォーマンスをじっくりと勘定される、ファンがそれぞれ自身の眼力を試す、という状況を上遠野は作り上げることに成功してもいたようである。だとすれば、アイドルを演じるにあたって、平均を凌ぐ”なにか”をその小さな身体の内に秘めていたのかもしれない。
卒業後(卒業という表現は適切ではないかもしれないが)、その秘めた資質が活かされたのか、『愛乙女☆DOLL』のメンバーとして、”らぶどる”として、アイドルの物語を約10年書き記している。これは並ではない。もしAKB48時代から彼女のことを追いかけその成長を共有したファンがいたならば、これほど幸福で実りあるストーリー展開はほかにないだろう。
また、『愛乙女☆DOLL』には8期のトラジックである佐野友里子も参加しており、共に夢への献身を描いている。『愛乙女☆DOLL』卒業後は『虹色の飛行少女』『SAISON』の一員として「アイドル」を延伸している。数奇なことに、『SAISON』では、AKB時代の同期、林彩乃、鈴木まりやとの再会・邂逅を果たしている。これも「アイドル」というコンテンツ、幻想に没入する人間の手繰り寄せる奇跡のひとつなのだろうか。
総合評価 40点
辛うじてアイドルになっている人物
(評価内訳)
ビジュアル 7点 ライブ表現 8点
演劇表現 8点 バラエティ 10点
情動感染 7点
AKB48 活動期間 2008年~2009年