SKE48 生まれ変わっても 評判記

「いろいろあった」
歌詞、楽曲、ミュージックビデオについて、
大場美奈の卒業ソング。
大場美奈、このひとは、おそらくもっとも境遇に揺さぶられたアイドルであり、今日、アイドルの扉をひらいてしまった少女の、その逃れがたい屈託の多くを包括する存在である。これまでに、多くの可能性を失い、またそれ以上の可能性を広げてきた。今日、大場美奈と言えば文句なしにSKE48の代表的メンバーの1人に数えられるが、過去に遡れば、このひとは、AKB48の新しい希望として構成されたチーム4の初代キャプテンを務めている。つまりAKB48の次世代を担うべき登場人物として期待されたメンバーが好敵手であるSKE48にアイドルの物語を移すという、現実問題をあくまでもフィクションとして解決するという作詞家・秋元康的ストーリー展開の、その無垢なフレネジーにまたがり「アイドル」を編み上げたのがこの大場美奈である。
大場は、ファンにとって、またSKE48にとって、フレネミーと呼ぶしかない境遇のなかでアイドルを育んできた。ある旅番組で、海を眺めながら同期の島崎遥香から、AKB48ではじまったのだからAKB48で終わればいい、と言われた際に、大場はこころを激しく揺さぶられたような表情をしていたが、きっと、それが彼女の忘れがたい本心だったのだろう。不意に鼻先をかすめる郷愁を抑え込むことができる人間は少ない。大場美奈の魅力とは、この郷愁に打ち勝つ、というよりも、SKE48というグループそのものを郷愁の的にしてしまった点だろう。
今作『生まれ変わっても』ではこうした感慨、感傷に応えるような、誤魔化しのない、大場美奈というアイドルのユニークさが上手に描かれているようにおもう。
総合評価 62点
再聴に値する作品
(評価内訳)
楽曲 11点 歌詞 12点
ボーカル 10点 ライブ・映像 14点
情動感染 15点
歌唱メンバー:大場美奈
作詞:秋元康 作曲:- 編曲:-