乃木坂46 何もできずにそばにいる 評判記

「何もできずにそばにいる」
楽曲、歌詞について、
9枚目シングル『夏のFree&Easy』のカップリング曲。センターは西野七瀬。
西野七瀬=泣き虫、というイメージに沿った歌詞を書いている。あるいは、当時のシーンに鑑みれば、生駒里奈への投影かもしれないが。
今作品が提供される以前の、たとえば『気づいたら片想い』のミュージックビデオで映像作家が作り上げた西野七瀬像を下敷きにしつつ、その西野七瀬を中心にしたグループが後日演じることになる楽曲群のあたらしい下敷きになるような詩を記している(たとえば、『ごめんね ずっと…』や『悲しみの忘れ方』)。そうした捉え方をするならば、表題曲のなかで”浮いてしまった”今シングルの表題作『夏のFree&Easy』とは対照的な趣をもった作品と云えるかもしれない。
今作品は一部のコアなファンのあいだで乃木坂46の隠れた名曲とされている。それはやはり楽曲の質はもちろん、『何もできずにそばにいる』がグループの物語を編む役割を担い、名曲と呼ばれる作品と連なりをもつからだろう。この楽曲に触れれば、グループが作った様々な時代の物語が頭によぎるのだろうし、グループのなかで燦然と輝く名作に触れた際に、目ざとい、コアなファンのうちの誰かが、きっと、この『何もできずにそばにいる』の存在を思い出すのではないか。
ただ、あくまでもこれはアイドルと楽曲の愛着を模索した際の感慨に過ぎず、詩情そのものをうかがえば、それはあまりにも現実性に乏しく、焦点が定まっていないようにみえる。
総合評価 57点
聴く価値がある作品
(評価内訳)
楽曲 13点 歌詞 11点
ボーカル 10点 ライブ・映像 11点
情動感染 12点
歌唱メンバー:秋元真夏、生駒里奈、井上小百合、衛藤美彩、斉藤優里、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、西野七瀬、橋本奈々未、堀未央奈、深川麻衣、星野みなみ、松井玲奈、松村沙友理、大和里菜、若月佑美
作詞:秋元康 作曲:角野寿和 編曲:京田誠一