AKB48 僕たちは戦わない 評価

(C)僕たちは戦わないジャケット写真

「僕たちは戦わない」

歌詞、楽曲、ライブパフォーマンスについて、

乃木坂46のブレイクによってグループアイドルの通史そのものに転換点が刻まれ、きわめて逼迫した状況のなかでAKB48のこれからのあり方を決める、あるいは、これ迄の集大成とするか、岐路に立たされた作品である。作り手、選抜されたアイドル共に豪華であり、傑作への熱量をたしかに放っており、島崎遥香をあたらしい主人公として両足で立たせるべく、周到な戦略が企てられたと感じるが失敗に終わっている。
歌詞については、酷く陳腐であるが、普遍的なメッセージ性を獲得するためには「平易」を忘失することはゆるされないのもまた事実であり、そのような観点では楽曲が備えた命題を毀さずに融和している、と云えるだろう。
ミュージックビデオについては、いわゆる終末感が導く「世界の終わり」を架空の世界で描くが、誰もがこれまでに一度はどこかでみたことのあるような、安易な想像力に頼って作られたありふれた世界感であり、写実に乏しく、安物のファンタジーに映る。壮大な設定と豊富な人材で臨んだにしては、なんとも中途半端な仕上がりであるが、仮構の中で呼吸するアイドルの立ち居振る舞いには、ドラマ『マジすか学園』での演技経験が余すところなく活かされており、闘争との対峙から逃れられないアイドルの成長をファンが共有出来た点は看過できないだろう。このような物語では戦うか、戦わないか、登場人物たちは悩み、葛藤するのが常であり、それをアイドルに置き換えることが容易な仕掛けとして機能した点も良い。
現代アイドルのなかでもトップクラスのライブパフォーマンスを誇る渡辺美優紀や、後に乃木坂46の「主人公」となる生駒里奈の姿を探してみるのも面白いだろう。

 

総合評価 69点

再聴に値する作品

(評価内訳)

楽曲 14点 歌詞 13点

ボーカル 15点 ライブ・映像 16点

情動感染 11点

歌唱メンバー:生駒里奈、大島涼花、大和田南那、岡田奈々、柏木由紀、加藤玲奈、川栄李奈、川本紗矢、木﨑ゆりあ、北川綾巴、小嶋陽菜、小嶋真子、兒玉遥、坂口渚沙、指原莉乃、島崎遥香、須田亜香里、高橋朱里、高橋みなみ、田野優花、中野郁海、松井珠理奈、松井玲奈、宮脇咲良、峯岸みなみ、宮澤佐江、向井地美音、武藤十夢、山本彩、横山由依、渡辺麻友、渡辺美優紀

・作詞 秋元康  ・作曲 Yo-Hey ・編曲 佐々木裕

評価点数の見方