SKE48 桑原みずき 評価

政治とは何か―竹下登回顧録(C)講談社

「とにかく陰険(山県有朋のパロディ)」

アイドルにとっての政治とは何か。
松村香織、須田亜香里、谷真理佳。アイドルとしてのタイプこそ、三者三様、それぞれと異なるが、ストラテジーという観点では、同じカテゴリーに分類される。王道や正統という称号を生まれ持つアイドルたちを戦略的思考で凌駕してしまう存在。必要悪にすらなれない、汚れ物として揶揄される存在。同時に、現在のアイドルシーンに内在する可能性を提示した握力の強い野心と虚栄心を持つ存在。ブルー・オーシャン戦略の成功者と云える。つまり、アイドルの闘争の大部分を政治に費やした三人。このアイドルたちの先達が桑原みずきである。
桑原みずき、SKE48のオープニングメンバーである。彼女は「権勢欲が強いというイメージのためか」現役時代のみならず、卒業後でさえもファンから「好意的に語られることはほとんどない」。その桑原を政界の登場人物に例えるならば、竹下登に該当するだろうか。あるいは、指原莉乃が麻生太郎ならば、桑原は野中広務と云えるかもしれない。今日の麻生太郎の風貌やウィットから想像することはむずかしくなったが、会合の際に、麻生に自身の家郷を嘲笑われた野中が他の議員の面前で麻生を激しく叱責した際に、麻生が赤面し俯いたのは有名な話しである。そのような凄みを辿ると、「田中角栄との骨肉の争いを超えて、宰相の座についた」竹下登、「元祖闇将軍」と云われる山県有朋に打つかる。桑原みずきがSKE48というグループの闇将軍であったのは云うまでもない。彼女は他人を信頼するなどという軽はずみなことは一切せず、派閥外のアイドルの立ち居振る舞いには鋭く眼を光らせ、用心深く観察をした。とにかく陰険な人物であったが「胸襟を開く」きっかけさえあれば深いつきあいに発展させた。「親近した者とは太い絆で結ばれ」、みな桑原のために忠勤に励んだ。晩年は、求心力を失い、グループに対する影響力は皆無となり、人気も低迷し、逃げるようにしてグループから卒業した。アイドルの政治=闘争という分野では頼もしさを発揮し、AKB48とは隔絶したグループアイドルのイデオロギー=家郷を建設したが、アイドル個人としては、何も残すことができなかった。

 

総合評価 26点

推していたことは秘密にしたほうが良い人物

(評価内訳)

ビジュアル 2点 ライブ表現 13点

演劇表現 4点 バラエティ 5点

情動感染 2点

SKE48 活動期間 2008年~2013年

引用:「」、福田和也/総理の値打ち

評価点数の見方