櫻坂46(欅坂46) 小林由依 評判記
「ストーリーテラー」
小林由依、平成11年生、櫻坂46(欅坂46)の第一期生。
文才豊かなアイドル。日常の機微を見逃さずに切り抜いた、ノートに記された言葉の数々は、アイドルとアイドルを演じる人間のあいだに生じた空白を埋め、素顔をひらく。
言葉を編む、という行為に意識的であることの避けがたい帰結か、表情によって、と言うよりも、シチュエーションによって、ビジュアルが様変わりする。時に息を呑むような美しさを提示するそのむら気の激しさによったものなのだろうか、デビュー当時は、乃木坂の西野七瀬の面影をもったアイドル、というイメージ・ビジュアルを描き出す場面が多かった。とはいえ、同じく西野七瀬を模倣する渡邉理佐と比べれば、小林は比較的早い段階で西野七瀬への模倣から切り抜け、隘路を脱している。
しかしまた、その脱却の動機が、平手友梨奈が作り出したカテゴリーへの決定的な没入である点は看過できない。他者が作り上げる偶像=テクストに囚われることでしか自己を物語ることができないという小林由依のその横顔は、作家の苦悩とよく似ている。平手友梨奈脱退後、小林の言葉・語りをもって、欅坂46は物語に幕を降ろした。ゆえにこのアイドルには、ストーリーテラーとしての魅力が宿っている。
総合評価 69点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 14点 ライブ表現 14点
演劇表現 14点 バラエティ 13点
情動感染 14点
欅坂46 活動期間 2015年~