日向坂46(けやき坂46) 佐々木美玲 評判記

「エロクエンティアを探しつづける」
平凡な資質の持ち主は、本能的に、自分よりも優れた資質の持ち主を避ける。自分にない才能や資質を迎え入れることで、自分自身の立場を強化するなどという思考は、平凡な出来の人には無縁なのだ。とはいえこれをできたら、もはや平凡ではなくなるのだが。
塩野七生/ローマ人の物語Ⅷ
佐々木美玲、平成11年生、日向坂46(けやき坂46)の第一期生。
現役アイドルのなかで五指に入る歌唱力の持ち主。秋元康の書く詩、編み上げる音楽を唄う彼女のその声にふれると、おもわず叙景してしまう、倒錯の魅力をもつ。だれの目にも明らかな気性の激しさを、音楽のなかで多彩な心象風景に変えていく。蒼に染まったその横顔は、きわめて雄々しく、儚いものだ。
しかし意外にも表題作のセンターに立った経験をもたない。主人公感を宿し、また作り手の内においても彼女のその素質を認めているかに思える動向が、デビュー以来、(たとえば『イマニミテイロ』『アザトカワイイ』など)間断なくグループの物語に示されているが、決定打を欠いている。たとえば、序列闘争において自己の存在感・役割を他のアイドル、とくに若手メンバーに奪われることにひどく怯えるといったある種の平凡さ、生来のこころの弱さが、アイドルとしての飛翔を妨げているのかもしれない。
ゆえに、自己の内に秘められている可能性のなかで、最も本質的なものは何か、エロクエンティアを探しつづけることに、佐々木美玲の物語の本領、見どころがある。
総合評価 68点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 14点 ライブ表現 15点
演劇表現 14点 バラエティ 13点
情動感染 12点
けやき坂46 活動期間 2016年~