AKB48 浦野一美 評判記

AKB48

浦野一美(C)朝日新聞デジタル

「私に惚れたら上級者」

浦野 一美、昭和60年、AKB48の第一期生。
チームAからチームB(チームの立ち上げ役)へ、AKB48卒業後はSDN48へ、そして渡り廊下走り隊7へ加入するなど、かなり移動距離の長いアイドルを作っている。卒業後に総選挙イベント(AKB48 32ndシングル 選抜総選挙 〜夢は一人じゃ見られない〜)に参加したりとアイドルとしての物語は波乱万丈で、豊富である。

一言で語り切ることはむずかしいが、とりわけ、将来を嘱望される若手アイドルに向ける妬心、卑屈さをユーモアにかえてみせる手腕に、この人のアイドルとしての魅力・才能があるだろうか。セレクション審査によって落第しアイドルを辞めることがすでに決まっている有馬優茄に向けて、まだまだやれる、ここからがチャンスだ、と励ましてしまう「間」の悪さなども、浦野一美という人の「人となり」をよくあらわしている。
自己が演じるアイドルのレゾン・デートルを守るためにきわめて現実的、シビアに振る舞う人でもある。現実と仮想、つまりファンとアイドルのあいだに明確に一本の線を引くことで、ファンとアイドルの仮想恋愛を防ぐ。ファンの良き理解者、相談相手であるというスタンスに一貫することで、独自の立場を得た。
「アイドルの恋愛禁止」にたいして明け透けに語った浦野の言葉・文章に説得力があるのは、ファンとの仮想恋愛を軸にしてアイドルを立ち上がらせることのできる少女たちとは異なった道を、デビュー以来、彼女が歩んできたからだろう。いつの時代に読んでも、アイドルとファン、ともに共感される文章を編んでいる。
秋元康とのエピソードも豊富である。遠雷のごとく響き渡る秋元康のアイデアに振り回された浦野の物語は、そのままAKB48ひいては平成のアイドルの有り様を映し出している。

 

総合評価 55点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 6点 ライブ表現 9点

演劇表現 13点 バラエティ 13点

情動感染 14点

AKB48 活動期間 2005年~2010年
SDN48 活動期間 2010年~2012年