グループアイドルソング ランキング 2021

特集

Time flies 遠藤さくら ジャケットデザイン(C)乃木坂46公式サイト

グループアイドルソングランキング 50位~41位

50位 突然 Do love me! / HKT48
セカンド・アルバム『アウトスタンディング』のリード曲。異国から帰還した矢吹奈子をセンターに配し、長らく続いた主人公の不在を解消した。やはり存在感は別格のように思われる。ものが違う。ただ楽曲はひどく平板でつまらない。

49位 冷たい水の中 / 乃木坂46
堀未央奈の卒業ソング。ミュージックビデオ=フィクションのなかで「アイドル」からの卒業を発表するというエゴに支えられた仕掛けを作り、それなりに話題になった。

48位 君とどこかへ行きたい / HKT48
ひとつの表題作を、中堅と若手に分かれ、それぞれ演じた。”売れている”アイドルグループにはできないことをやっている。

47位 Microscope / 櫻坂46
アイドルへの尽きない探究心を、「顕微鏡」に着想を得てうたっている。楽曲そのものは安直に感じるが、アイドルのパフォーマンスには目をみはるものがある。

46位 いつもの椅子 / NMB48
白間美瑠の卒業ソング。順位闘争に向けた白間美瑠の本音を、作詞家の詩が上手にカヴァーしている。

45位 1・2・3 / 乃木坂46
TVアニメ・ポケットモンスターのオープニングテーマ。

44位 流れ弾 / 櫻坂46
「天才」の仮装に失敗した、「アイドル」の破綻を示す作品。

43位 夢は何歳まで? / 日向坂46
高本彩花、東村芽依のデュオ。夢と現の対峙を、アイドルの横顔を通し考えさせる、価値ある一曲。

42位 音の割れたチャイム / SKE48
西満里奈の魅力を明るみに出した作品。タイトルに見出す情感とアイドルの笑顔がしっかりと接続している。

41位 私が一番言いたかったこと / NGT48
荻野由佳の卒業ソング、ではなく、荻野由佳の卒業へ向けたメッセージソング、という点においては定形を脱している。


グループアイドルソングランキング 40位~31位

40位 あの頃のロッカー / SKE48
ロッカーへの強い偏執を見せるも、視点が定まっていない。コミカル・キュートなアイドルの踊りには引き込まれる魅力がある。

39位 嘆きのDelete / 日向坂46
加藤史帆のメランコリックな一面を穿とうとした、アイドルへの関心を示そうとする作詞家の模索の劇。

38位 雨のち奇跡的に晴れ / SKE48
「プリマステラ」というユニット名を意識したのか、わからないが、雨上がりの開放感を無人の動物園に喩える点などはなかなか充実している。

37位 情熱の電源 / NGT48
打ち捨てられた「冷蔵庫」を眺め、そこに閉じ込めたままの、忘れたままの「夢」を想う。作詞家として過ごす時間のなかで、つい発見してしまう日常のイベントなのだろう。だがそれをアイドルに絡めてしまうと、途端に詩情が色褪せるのはなぜだろう。

36位 あの頃の君を見つけた / SKE48
林美澪というあたらしい主人公の登場を鮮烈に描き出した作品。作り手の内にある、物語を作ろうとする強い意識、いや、過剰な意欲を受け取る。こうした大胆なタイトルを付けてしまえるところに作詞家でありながらアイドルのプロデューサーとして働く秋元康の「存在感」があるのだ。

35位 歳月の轍 / 乃木坂46
乃木坂46・生田絵梨花の最後のソロ楽曲。アイドルの持つ”くすみ”を捉えきれていない。

34位 Dead end / 櫻坂46
避けようがなく過去に囚われるも、しかし未来を見据える、という姿勢を誇示した楽曲。乃木坂46の表題作同様、シーンの「現在」と合致している。

33位 Awesome / NGT48
久しぶりのシングルとは言え、コロナ禍におけるアイドルとファンの再会を歌った前作『シャーベットピンク』とほとんどテーマが変わっておらず、無我夢中で踊れ、と歌うが、ただ同じ場所でぐるぐると回っているだけにしか見えない。しかしアイドル個々に視線を移すと、小熊倫実の踊りにはこれまでのアイドル観から径庭せざるを得ない魅力が備わっており、楽曲への評価に転向が起きる。

32位 ざぶんざざぶん / 乃木坂46
何を伝えようとしているのか、いまいち見えてこない。試行錯誤の途中といったところか。ただ、イメージの作り方が鉄壁すぎるようにも感じる。想像の余地が奪われている。

31位 はっきり言って欲しい / NGT48
「アイドル」に対し真面目すぎる中井りかの、その思い込みと熱誠を存分に味わえる。歌と踊りにアイドルの本領がある、と謳うことで、他のアイドルの魅力をうまく引き出している。


グループアイドルソングランキング 30位~21位

30位 後悔なんかあるわけない / STU48
やり残したなにか、を積み上げることを「後悔」と表現し、その「後悔」をグループから去っていくアイドルの横顔に重ねつつ明日への活力として歌っている。

29位 無言の宇宙 / 櫻坂46
大人になってしまったアイドルが出遭いするアイデンティティ・クライシスへの応答を、その当事者である渡邉理佐が演じ表現した。

28位 さ~ゆ~Ready? / 乃木坂46
松村沙友理の卒業ソング。慣習化された「アイドルのメモリーの映し出し」から抜け出すことでアイドルからの脱却を表現してしまうところに、アイドル・松村沙友理のおもしろさがあるのだろう。

27位 あくびLetter / 日向坂46
作詞家が、めずらしく、ひとつの小道具に拘っていない。今作で拘ったのはひとつの「空間」のようだ。ゆえに楽曲を演じ歌うアイドルが生き生きしている。とくに渡邉美穂の表情はやわらかく、甘美。

26位 ポンコツな君が好きだ / NGT48
「ポンコツ」という、アイドルファンがアイドルに惹かれる一つの魅力をストーリー仕立てで歌う。映像作品については、「冗長」の一言に尽きる。才能ある監督ならば、この導入部を15秒で語るだろう。

25位 Right? / 日向坂46
3期生楽曲。まだまだ笑顔が硬いが、これは今の彼女たちにしか作れない表情なのだろう。

24位 ってか / 日向坂46
楽曲、映像作品、ともに高い完成度。アイドルのパフォーマンスも他を圧倒している。しかしその中央に立ったあたらしい主人公の横顔ではなく、過去の主人公の背中に視線を向けてしまうのはなぜだろう。小坂菜緒が強すぎるのか、他が弱すぎるのか。小坂菜緒の不在という事態に対し健闘しているアイドルが一人も見当たらない。

23位 ジャマイカビール / 櫻坂46
バナールな現象のような、ありふれた、しかし逃れることのできない物語。

22位 友情ピアス / 乃木坂46
遠藤さくら、大園桃子のユニット楽曲。このふたりが並び歌うところを一度は見ておきたかった、記録しておきたかった、ということなのだろうか。真っ直ぐに青春を唄っている。


21位 ヘタレたちよ / STU48
岡田奈々との別れを通して、『暗闇』からはじまった物語に一応の終止符が打たれ、次の物語への胎動を描いた。アイドルと共に闘おうとする作詞家・秋元康の熱誠が詩情の至るところに込められており、好感を誘う。


グループアイドルソングランキング 20位~11位

20位 ソニア / 櫻坂46
リップスティックの摩耗を少女の成長に喩え、その物語により没入するという回想の印。あくまでも「僕」の妄想の飛躍であるところがおもしろい。

19位 Hard to say / 乃木坂46
乃木坂46・アンダーの、クロニクル的作品。「アンダー」という場所に立たされたアイドルの触れがたいナイーブさをやさしく撫でようとする詩情とは裏腹に、映像作品は場面展開に乏しくアイドルに生彩がない。

18位 君と僕と洗濯物 / 櫻坂46
日常にとけ込むような詩情とメロディ。瑞々しい。

17位 独り言で語るくらいなら / STU48
2021年、AKBグループから発表された楽曲群のなかでもっとも完成度が高く、楽曲、詩情、映像作品、アイドルのライブパフォーマンス、どれをとっても一頭抜く存在感を示している。STU48でなければ表現できない歌であり、またグループアイドルでなければ表現できない楽曲だと感じる。とくに石田千穂の表現力に圧倒される。アイドルのビビットな屈託を印している。

16位 猫舌カモミールティー / 乃木坂46
アイドルを眺めアイドルソングを聴くファンの心情、恥じらいを迎え撃ったような詩情。

15位 他人のそら似 / 乃木坂46
過去に一度、深入りしたアイドルとの記憶が、次のあたらしいアイドルへの没入に役立てられる一つの奇跡を、他人のそら似という超越的シチュエーションを用意し物語ってしまえる点は、作詞家に力量がある、と云うべきだろうか。

14位 泥だらけ / 乃木坂46
青春の代わりに打ち込んでいるものが、しかし自分の未来にはなんら貢献しないだろうという確信を抱く若者の等身を、ほかでもない、青春の犠牲のもとにアイドルを演じる少女に歌わせているところには、尽きない興趣がある。

13位 ごめんねFingers crossed / 乃木坂46
二度と取り戻すことの出来ない過去への強い希求のなかで未来への希望を見出すという、「過去」との別れの決意を歌っている。アイドル、ではなく、グループアイドルの現在を鮮明に描き出した。

12位 口ほどにもないKISS / 乃木坂46
陽気に、暗示に満ち満ちている。アイドルのキャラクターを打ち出すことがそのままグループのアイデンティティを映し出すことになるという、アンダー楽曲の流れを汲んでいる。

11位 明日がある理由 / 乃木坂46
大人になってしまった人間の悔悟としての啓蒙には、たしかな説得力があり、「活力」を見出す。


グループアイドルソングランキング 10位~1位

10位 偶然の答え / 櫻坂46
豊かな才能をそなえたひとりの少女へ向け綴った、ひとつのラブレター。

9位 声の足跡 / 日向坂46
アイドルによる代弁が、ほかでもない作詞家自身に強く反響している。丹生明里のセンターへの可能性を拓いた作品。

8位 思ったよりも寂しくない / 櫻坂46
アイドルの素顔の提示に成功した稀有な作品。渡邉理佐の笑顔に惹かれる。

7位 BAN / 櫻坂46
グループの得意とするイロ=反動の強さを利用して、「アイドル」を本物の夢と扱う無垢な人間をその仮想の世界からはじき出そうと企んだ、意欲作。センターで踊る森田ひかるの表情が素晴らしい。

6位 錆びたコンパス / 乃木坂46
山﨑玲奈に捧げられた一編の詩が「アンダー」の集大成に回答されるという、作詞家・秋元康の巧緻の魅力と同時に、ひとつの「物語」となったアイドルたちを存分に味わえる名作。

5位 全部 夢のまま / 乃木坂46
幻想から覚めてしまうことを、アイドルとの別れに喩え歌った、恋愛譚。現実感覚によったシチュエーションだが、強い「幻惑」がある。なによりも、音に身を任せ揺れるアイドルたちの踊り、演劇に強く引かれる。言葉どおり、魅力的、魅了的な作品。

4位 僕は僕を好きになる / 乃木坂46
現実と仮想の混交を映し出すことでセンターに立つアイドルの横顔がよりジャーゴンになるという、アイドルの自我の追究とその厄介さを克明に記した作品。素顔の提示すら演劇で表現してしまう、他者に向けて素顔を提示しないところに素顔があるのだと確信してしまう山下美月の横顔には、ある種の暗さを凌ぐ勇敢さが出てきたように見える。また、表題作としてはやや場をわきまえないその詩の書き出しの内には作詞家の並みなみならぬ「勇気」を目撃する。楽曲とアイドルが遠く響きあった、アイドルの物語化に挑戦した力作。

3位 最後のTight Hug / 乃木坂46
『君の名は希望』に連なる一章。アイドルの卒業に対する一種の行き止まりを前にして、そこから引き返すのではなく、その壁を貫通し、そこを後戻りの不可能な地点と扱った、”サヨナラのあと”の物語。才気みなぎる生田絵梨花の集大成にふさわしい作品。

2位 君しか勝たん / 日向坂46
あたらしい主人公の登場を描くと同時に、姿を消しつつある過去の主人公への名残、その予感をあくまでもポップに歌う。”失ったときにやっと気づくんだ”、これは、アイドルの現在を写すだけでなく、「青春の反復」に倒れ込んだ作詞家・秋元康の現在を簡明に教えている。きわめて限定された情況においてのみつくられる、幸福な、実りある作品。

1位 君に叱られた / 乃木坂46
過去の恋人の魅力をあたらしい恋人との日常のなかで知らされ、今眼の前に立つ「君」のことをより深く愛していくという物語を書いた作詞家と、平凡な少女がある日突然、夢の物語の主人公に選ばれるというシンデレラストーリーを描いた映像作家。作り手の、アイドルを個人的に語ろうとする想いが、それぞれ、アイドルの現在と上手に合致し、グループアイドルの価値を知らしめ、底上げした。衰退・索漠の色の濃いシーンにあって、今、もっとも描くべき光景をしっかりと編み上げた点に作り手のたしかな熱誠を受け取る。文句なしの傑作。



あとがき、

今回も、楽曲だけでなくCDジャケットも手に取り、眺め、今年もっとも”デキ”が良いと判断したジャケット写真を記事の見出しへと準備した。今年は、乃木坂46から発売されたベストアルバム『Time flies』の個別ジャケット/筒井あやめ、遠藤さくらを選んだ。
2021年のアイドルシーンのテーマを「穏やかな世代交代」と唱えるならば、当然、次世代アイドルの登場と引き換えに、アイドルの卒業が語られたはずである。作詞家・秋元康の手によって卒業ソングが書かれる、これは、ほんの一握りの、幸運の女神に愛されたアイドルだけに許された「享受」である。それでも、2021年に制作された卒業ソングは、数えると、12曲ある。
今日のアイドルシーンの上に、暗いかげを作る分厚い雲のようにのしかかっているもの、それは眼前に立つアイドルから告げられる唐突な卒業発表への予感である。
アイドルの卒業、これは平成年間を通し倦むまでに繰り返されたイベントであり、アイドルファンの多くは「アイドル」の死=卒業に馴らされてしまった。であれば、アイドルから唐突に発せられる卒業発表など最早ファンの心を揺さぶるイベントになりえないのではないか、誰もが問い返してしまうだろう。だがそれはまったくの誤解である。アイドルの死に馴れてしまった、つまりアイドルの卒業を容易く予見できるからこそ、その予見の枠の外に立ったアイドルから差し出される卒業の報に驚き、またそれに怯え、臆病になる。
今、自分の眼の前に、あたりまえに立ち笑うアイドルの卒業を、現実感覚として想像できるファンは一体どれだけの数、存在するだろうか。もしその想像できなかった「想像」を偶発的にあるいはなんらかの企図・働きかけによって突きつけられたら、ファンはなにを想うだろうか。おそらく、絶対に彼女を失いたくない、と偏愛を抱くのではないか。そして、より深く「アイドル」へと没入することになる。
こうした妄想の飛躍をもった際に、現在の筒井あやめ、遠藤さくらの両名には計り知れない儚さが宿っているようにおもう。シーンの表通りを闊歩する乃木坂46の次世代の代表格とみなされる少女が同期の誰よりもはやくアイドルからの別れを告げる場面など、ファンの誰が想像できるだろうか。

 

2019/12/26   楠木

   

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