グループアイドルソング ランキング 2019

特集

「2019年アイドル楽曲ランキング」

乃木坂46 4期生 注目度ランキングを作った際に、メモ帳の厚みを元に注目するアイドルの順位を決めた、と話した。今回は、筆者が愛用するミュージックプレイヤーに記録された、各アイドルソングの再生回数に重きを置く、きわめて個人的なアイドルソングランキングを作ろうとおもう。ランキングの対象と扱うのは、AKB48、SKE48、NMB48、HKT48、STU48、乃木坂46、欅坂46、日向坂46、吉本坂46、この9つのアイドルグループから2019年にリリースされた110曲とする。ランキングを作るにあたり、対象となるすべての楽曲をもう一度聴き返し、ミュージックビデオを制作している楽曲に関してはそれにも目を通した。もちろん、発売日や入手日などの都合上、再生回数だけではフェアにはかれない部分がどうしてもでてくるため、再生回数をそのまま安易に順位へと当てはめるようなまねはしていないが、順位付け作業を終え、あらためてミュージックプレイヤーの再生回数と比較してみると、概ね一致していた。
今回の批評では、「この楽曲は季節の記憶となり得るか」という視点をつよく意識した。結局のところ、歌とは、どれだけ我々の日常生活に浸透し、通り過ぎてはくり返す季節の匂いに寄り添えるのか、あるいは寄す処となれるのか、この点が楽曲の価値の大部分を占めてしまうのではないか、と考えるからである。
夏目漱石の書いた文章を100年後に生きる私たちが当たり前のように手に取り、愉しむのとおなじように、音楽をつくる人間もまた、自身の作品が永い時間のなかを漂いつづけることに恋い焦がれるのではないだろうか。そして、それを手に入れるためには、まず、季節の記憶として、ファンに楽曲を抱きしめてもらう必要があるのだ。


グループアイドルソングランキング 110位~101位

110位 もうすぐ~ザンビ伝説~ / 乃木坂46
ドラマ『ザンビ』の主題歌。あまりにも安易。

109位 人生の無駄遣い / SKE48
粘り強い問いかけ、訴えをたしかに持つものの、むしろそれが跨ぐのを躊躇する障壁になっている。

108位 パンパン パパパン / NMB48
一線を越えたな、という印象。

107位 イケメン騎士団 / 吉本坂46
「アイドル」にどこまで真剣になれるのか、試されている、と感じる。

106位 がっつきガールズ / NMB48
プラスチックを噛み砕いたような遊戯的不快感。

105位 ゲームしませんか? / SKE48
奇妙な達成感を抱くのは、胎動というカタルシスが砕け散ったからか。

104位 ジワるDAYS / AKB48
誰が、誰のために歌っているのか。

103位 私だってアイドル! / AKB48
古典と陳腐を履き違えている。

102位 好きだ 好きだ 好きだ / AKB48
投げやりな諦めにきこえる。

101位 ぼっち党 / 乃木坂46
アイデアの空振りが痛々しい。


グループアイドルソングランキング 100位~91位

100位 僕だけの君でいて欲しい / NMB48
仮構のなかに作られた物語とまったく関係のない、連なりを持たない現実世界での評判、アイドルの顔を持ち込むという愚の退屈さを凌ぎきれるファンは果たしてどれだけいるのだろうか。

99位 不能ではいられない(2019-12-25発売) / 吉本坂46
3作目にしてすでに迷走をはじめている。

98位 やさしさの稲妻 / NMB48
閉塞から脱却しようと試みる情景をつくる一方で、終盤の減衰力によってすべてを台無しにする。

97位 ごめんね クリスマス / 欅坂46
厚顔無恥。

96位 ごめん 愛せないんだ / NMB48
タイトル通り、終始薄っぺらい。

95位 カモミール / HKT48
小道具に対する異常なまでのこだわりとは、要は、アイデアが尽きた、という自白の裏返しにほかならない。

94位 Nobody / 欅坂46
保存されたアイドルの声が自暴自棄に映るのは何故だろう。

93位 ゴルゴンゾーラ / 乃木坂46
まったく印象に残らない。

92位 夢力 / STU48
疾走感ではなく窒息感がある。

91位 否定した未来 / 欅坂46
巧みなタイトル。未来をみごとに迎え撃った、と評価。しかし、全体的に拙い。


グループアイドルソングランキング 90位~81位

90位 ホントの時間 / 日向坂46
語彙の経年劣化に対する無頓着をアイドルの笑顔で誤魔化そうとしている。

89位 ママのドレス / 日向坂46
当然置かれるべき目あたらしさがどこにも見当たらない。顔を出そうとするアイドルの個性をことごとく消しており、期待を裏切られた、と感じてしまう。

88位 床の間正座娘 / NMB48
悪ふざけに辟易。

87位 大人列車はどこを走ってるのか? / HKT48 
列車の揺れによって中心軸からはじき出され、束縛から漸く解放される、次の時代を懸命に生き抜こうとするアイドルたちを描く。しかし、これは過去に幾度となく眺めた光景でもある。

86位 夢の在処へ / SKE48
「想い」を伝えたいと渇望する姿勢、悲痛のようなものは理解できるのだが…、物足りない。どこかボーカロイド的に、無機質に響く。

85位 青春 ダ・カーポ / AKB48
狙ったであろう希望を投げつけないし、発見の余地も作られていない。

84位 甘い妄想 / NMB48
テーマから逸れずに進行するが、終始間延びしている。

83位 頬杖をついては眠れない / 乃木坂46
局部へ視点を絞ることで、なんとか一作書き切れた、という徒労感をかくしきれていないため、写実的描写のすべてが安易な想像力にたよって作り出されたまがい物に映る。

82位 初恋ドア / AKB48
慣習化が招く倦みの典型。

81位 川は流れる / 日向坂46
いや、しかし思い切ったタイトルだ。


グループアイドルソングランキング 80位~71位

80位 沈黙が愛なら / 日向坂46
散文への憧憬が空回りしている。書き出しは良い。

79位 Dash&Rush / 日向坂46
キューティーハニーがテーマ。

78位 君に話しておきたいこと / 欅坂46 / けやき坂46
歌詞だけでなく、楽曲そのものに言葉の鈍さがあり、耽美的なボーカルが楽曲と乖離を起こしている。

77位 サステナブル / AKB48
矢作萌夏をセンターにむかえた、令和のグループアイドルシーンを読むうえできわめて重要な楽曲。「救世主」として、あたらしい主人公を描くべき絶好のタイミングであったが、夢と潰えた。

76位 アップデート / NMB48
”そこ”に漂いつづけるという目的ならば達成している。

75位 真正面 / NMB48
タイトルは良い、しかし期待する刺激との衝突には一度も遭遇しない。

74位 ピンク色の世界 / NMB48
現実と仮想の不分明を描くが、テーマのむずかしさ故か、うまくいっていない。

73位 時々 思い出してください / 乃木坂46
桜井玲香のソロ。ファンにとっては文句なしのメモリー。

72位 嘘をつく理由 / NMB48
フィクションをテーマと扱うが、これもうまくいっていない。作詞家、アイドル共に虚構への洞察に不足する。

71位 キュン / 日向坂46
アイドルの笑顔が硬直している。それも全員。


グループアイドルソングランキング 70位~61位

70位 無限大ノック / NMB48
アイドルを啓発するが、ノックという振動を、「胎動」へとつなげるちからを詩的世界の内に描けていないせいか、熱心な科白がやや滑稽に映る。

69位 真っ赤なアンブレラ / HKT48
5期生楽曲。初々しい。

68位 平行線 / 乃木坂46
虚実と実情のバランスはとれているものの、あらためて聴くと場面展開と不気味さに乏しい。

67位 ヒールの高さ / 欅坂46
ヒールという小道具に焦点をしぼってあれこれ比喩を書きなぐっている。つまり、いつもとかわらない光景だが、今作ではアイドルの表現力に辛うじて救われている。

66位 やる気のない愛をThank you! / 吉本坂46
表題曲との境界線があまりにも不分明。

65位 Footsteps / 日向坂46
アイドルの描くぬくもりに一定の理解と共感を示すことは可能。

64位 焼け木杭 / NMB48
圧倒的な主人公の不在をどう埋めるのか、試金石のひとつとなった作品。アイドルの表現力は悪くない。

63位 図書室の君へ / 乃木坂46
「4番目の光」につづく4期生楽曲。架空の世界への招待状になっているが、音楽を聴く、という観点に立つと、やや退屈。

62位 出航 / STU48
筐体が伝える不気味な胎動を鮮明に描くものの、テーマに対し倒錯している。

61位 もし君がいなければ / 乃木坂46
衛藤美彩のソロ曲。


グループアイドルソングランキング 60位~51位

60位 まさか 偶然… / 日向坂46
楽曲、詩的世界、共に優れており、良作と云えるが、ボーカルが古臭い芝居のような表現をしており、興をそがれる。

59位 Generation Change / AKB48
イントロは素晴らしい。

58位 さゆりんご募集中 / 乃木坂46
狭い劇中劇と処理されてしまうのは詩情の暴走が弱いからか。

57位 やがて 菜の花が咲く頃 / STU48
抑揚の欠如は、濃密な夢をみるように虚構へと没入させる。だが、終始、懐疑的にも映る。

56位 4番目の光 / 乃木坂46
瑞々しく、不完全。群像の再来を実感する。同時に、そこに記された詩によってすべてを転覆させられる。ストーリーじみた安易な科白の数々は、アイドルとファンを常に子供扱いする作詞家自身が、ついに幼児退行してしまったのではないか、と不安にさせる。

55位 恋は仮病中 / STU48
魅了的だ。でもどこか調子外れ。

54位 流れ星に何を願えばいいのだろう / AKB48
なかなか皮肉的で好印象。

53位 耳に落ちる涙 / 日向坂46
良作。『ハルジオンが咲く頃』のようなイントロダクションによって爽快感が生まれ、季節の記憶を作る。中盤から倦怠感を投げつける仕掛けはイマイチ。

52位 大好きな人 / STU48
屈託、つまり途方の繰り返しを表現してしまったことが、むしろグループを囲繞する不安を迎え撃っており、文学的な響きを内在するものの、表題曲としては物足りない。やはり、「出港」以降発表された楽曲のほとんどが自己模倣に映るからか。

51位 滑り台から / SKE48
作詞家・秋元康のそなえる、クリシェに対する無頓着。そのもっとも明確な現れ。

次項に続く