STU48 非全力 評価

STU48, 楽曲

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「少しだけ休ませてくれ」

歌詞について、

対立命題を思考の寄す処にする、これは作詞家だけの得物ではない。小説家はもちろん、政治家や弁護士など、言葉で勝負する人間ならば、とくにめずらしくない趣向と云えるだろう。
たとえば、けやき坂46の『期待していない自分』は『何度目の青空か?』の対立命題として書かれた作品だ。今作品『非全力』も対立命題に映る。「全力」というキーワードを、「非全力」に転換させることによって、平易ではあるけれど、ある種の陳腐さを消臭し、ひとつのアイデアを抽出している。作家にとって、「多作」を可能にするもの、それはアイデアにほかならない。アイデアが生まれさえすれば、その小道具へのこだわりを頼りにして、一曲、詩を書き切ることができる。真っ白な原稿用紙を文字で埋めていくという作業は、絶望以外のなにものでもないのだ。ペンをはしらせるきっかけ、衝動を手繰り寄せるためには、頭のスイッチを切り替えるような行動が必要になる。直進する機械じかけの人形の頭を掴み、180度、向きを変えるような行為。そのスイッチのひとつとして、対立命題があり、対立命題を設置することにより、アイデアにたどり着ける。この書き出しへのハードルさえうまく越えてしまえば、大体の場合、そこで作品の価値が決まる。ガルシアマルケスが「長編小説は書き出しの一行で決まる」と云ったが、詩的世界の構築も小説と変わらないだろう。作詞家・秋元康の記す歌詞の多くが、書き出しに資質のすべてを込めたかのようにみえ、中盤からは退屈になってしまう理由に、この書き出しへの過剰な熱量がある、と云えるのではないか。『非全力』においても、終盤で”僕にとって 一番大事なもの どこかで見つけよう”と書いてしまい、それまでに描写してきた「僕」のモノローグのすべてを否定するような科白を置いている。これは単純に作詞家のモチベーションが、書き出しの一行を書き終えた段階で息切れしたからだ。

ライブ表現について、

石田千穂、彼女は楽曲の存在理由なるものを個人的に解釈し、フィクションを作っている、と感じる。門脇実優菜、土路生優里については、パフォーマンスに”勘違い”がみられる。気持ちを込めすぎているというか、表情に儚さが感じられない。川のながれに身を任せないで、むしろ、それに立ち向かってしまっている。とくに門脇実優菜は今作品のようなダンススキルで乗りきることができない楽曲を、表情や仕草、つまり演劇で乗り切ることが可能になれば、他の追随を許さないアイドルになるのではないか。

 

総合評価 52点

聴く価値がある作品

(評価内訳)

楽曲 10点 歌詞 8点

ボーカル 11点 ライブ・映像 13点

情動感染 10点

歌唱メンバー:石田千穂、大谷満理奈、門脇実優菜、榊美優、張織慧、兵頭葵、三島遥香

作詞家:秋元康 作曲:須永俊  編曲:須永俊

 

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