乃木坂46 深読み 評判記

「深読み」
楽曲、歌詞について、
29枚目シングル『Actually…』のカップリング曲。センターは齋藤飛鳥。
タイトルにはなかなか期待させるものがある。『つづく』や『空気感』あるいは『ブランコ』のように、タイトルに触れただけで、この楽曲はグループアイドルの横顔を通し語られる詩情を持つのではないか、と予感してしまう、そんな魅力があるようにおもう。魅力、これは往々にして、予感であることが多い。
作詞家・秋元康の作り上げるアイドルソングのほとんどが恋愛譚であるのは、あらためて説明するまでもない。恋愛とは、当然「深読み」の投げつけ合い、打つかり合い、感情の交錯、交歓によって育まれていくものだし、その機微を描こうとする歌謡曲を演じる「アイドル」もまた、その魅力を語る際には、「深読み」を避けて通れない。やはり、どうしても期待してしまうわけだ、このタイトルは。
しかし歌詞カードを読むと、落胆させられる。『深読み』には、それを読む者をして、深読みさせるような詩的さもなければ、散文のようなだらしなさもない、中途半端な詩情が記されている。
これはあるいは、センターで踊るアイドルの写実、のつもりなのだろうか。作詞家から眺めた「齋藤飛鳥」の横顔、のつもりなのだろうか。この詩情の内に「齋藤飛鳥」が生動しているとはとても思えないが、たしかに、その詩情のあられもなさは『ジコチューで行こう!』と類似しているようにおもう。まず作り手がアイドルを眺め、見たままの性格をノートに写すのではなく、多くのファンがすでに懐きシーンに打ち出されたアイドルのイメージを利用しただけのフィクションに見える。仮に、もしなんら企図するところなく、前回の失敗を繰り返してしまった、ファンのイメージの後を追ってしまった、となると……。
総合評価 -点
保留
(評価内訳)
楽曲 8点 歌詞 6点
ボーカル 12点 ライブ・映像 -点
情動感染 7点
歌唱メンバー:秋元真夏、齋藤飛鳥、樋口日奈、鈴木絢音、岩本蓮加、梅澤美波、久保史緒里、山下美月、与田祐希、遠藤さくら、賀喜遥香、掛橋沙耶香、柴田柚菜、清宮レイ、田村真佑、筒井あやめ、早川聖来、中西アルノ
作詞:秋元康 作曲:高木龍一 編曲:高木龍一
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