SKE48 不器用太陽 評価

SKE48, 楽曲

「これ以上  近づけない」

 

書き出しは詩的である。この詩的さがノスタルジックな世界の構築に役立っている。冒頭の写実的な描写がなぜか幻想的なシーンとして映し出され「僕」の前に「君」が立ち現れる。その2人の物語へ没入させるリズム感のようなもの、仕掛け的なものがとても巧く機能している、と感じる。そして、観客がカタルシスへ到達しようとする瞬間に多くのアイドルファンが忌み嫌う「ラップ」が登場し、オーケストラが演奏をするその空間で銃弾を天井に撃ち込むみたいに、すべてを破壊してしまう。このラップのために用意された歌詞も詩的さが損なわれた稚拙な表現である。つまり、詩とラップの止揚を狙ったのだろうが、この楽曲においては”失敗におわった”と云える。

最初から最後まで精神としての移動をしない「僕」とは、現代人(アイドルファン)の未成熟さを現しているのだとおもう。防波堤の端に座ってかき氷を食べるという現実感覚から乖離した描写とは、映像の世界においてきわめて日常的な光景を、現実世界で情景として焦がれてしまう現代人を揶揄したものだろう。実際に防波堤の端に座って(浴衣をきた片想いの女性の隣で)かき氷を食べながら「歯が染みるね」「こめかみが痛い…」などという紋切り型の会話(経験)をしたことのある男性(アイドルファン)が現代の日本にはたしてどれだけ存在するだろうか?しかし、一方で、そのような描写を私たちは無意識のうちに季節の記憶(あるべき姿)として捉えてしまっているのだ。

映像作品については、キレイな映像だが、歌詞の補完、ヒントという立場がとれていない。どのようにでも解釈できる詩的な歌詞であるから、それに甘えて”投げっぱなし”にしたという印象を拭えない。つくり手として、一つの解答を示すべきであったと、私はおもう。

 

総合評価 70点

現在のアイドル楽曲として優れた作品

(評価内訳)

楽曲 18点 歌詞 12点

ボーカル 16点 ライブ・映像 13点

情動感染 11点

 

評価更新履歴
2018/10/11 リライトしました

歌唱メンバー:東 李苑、大矢真那、北川綾巴、二村春香、松井珠理奈、宮澤佐江、渡辺美優紀、大場美奈、高柳明音、古川愛李、古畑奈和、山田菜々、岩永亞美、梅本まどか、木本花音、熊崎晴香、佐藤すみれ、柴田阿弥、須田亜香里松井玲奈
作詞:秋元康  作曲:章夫  編曲:野中“まさ”雄一