SKE48 不器用太陽 評判記

「これ以上 近づけない」
歌詞、ミュージックビデオについて、
詩的に満ちた書き出し。文句なしにノスタルジックな世界を構築している。冒頭に置かれた写実的描写が幻想として映し出され、「僕」の前に「君」が立ち現れる。最初から最後まで精神としての移動を試みない「僕」とは、作詞家から眺めた現代人を映す鏡なのだろうか。防波堤の端に座ってかき氷を食べるという、現実感覚からきわめて乖離した描写とは、映像の世界で語られる日常を現実世界での情景として恋焦がれてしまう現代人を揶揄したものなのか。実際に防波堤の端に座り(しかも隣には浴衣を着た片想いの女性が居る)、かき氷を食べながら、「歯が染みるね」、「こめかみが痛い…」といった虚構的会話を経験したことのある男性=アイドルファンが、この現代の日本に、はたしてどれだけ存在するだろうか。しかし一方で、そのような描写を私たちは無意識のうちに季節の記憶として捉えているのだ。
総合評価 74点
現在のアイドル楽曲として優れた作品
(評価内訳)
楽曲 18点 歌詞 14点
ボーカル 16点 ライブ・映像 13点
情動感染 13点
歌唱メンバー:東 李苑、大矢真那、北川綾巴、二村春香、松井珠理奈、宮澤佐江、渡辺美優紀、大場美奈、高柳明音、古川愛李、古畑奈和、山田菜々、岩永亞美、梅本まどか、木本花音、熊崎晴香、佐藤すみれ、柴田阿弥、須田亜香里、松井玲奈
作詞:秋元康 作曲:章夫 編曲:野中“まさ”雄一