乃木坂46 設定温度 評判記

のぎざか, 楽曲

真夏の全国ツアー2017 (C) 時事通信社

「僕だけがどうして こんな苛立つのか」

カーテンの内側に入りベランダの窓を開けた。途端に蒸し暑い空気が顔を包み、虫の安っぽい鳴き声が遠くから聞こえる。 大きな室外機の羽根が、もうクーラーを消したのに、まだくるくると回っている。夜から今までの間、ずっとここから強烈な熱風がにな川に吹きつけていたんだ。

綿矢りさ「蹴りたい背中」

歌詞、楽曲について、

歌詞の書き出しが素晴らしい。純文学作品のようにながい時間の経過に耐え得る描写と云える。おそらく、この書き出し部分の”おもいつき”で制作を決心した楽曲なのだろう。そのせいか、中盤からひどく退屈になっている。構成に対する美意識が忘却されてしまっている、と感じる。とにかく恋愛を次の”段階”にすすめたい「僕」が、あっさりと眠ってしまう「君」を眺めながら抱くもどかしさ。思いつめ、思春期特有の絶望にたどり着き、大仰に恋愛を語りだすといった、作詞家があらためて保存を試みた「青の時代」、その時間のなかで記憶した感情への配慮が、構成の未熟さによって無残に破棄され、野ざらしになっている。だからどうしても退屈になってしまう。思いがけず情熱が尽きる、というのは文芸の世界ではめずらしい光景ではないが、舌を巻くほどに凝った書き出しを前にすると後ろ髪を引かれる。


歌唱メンバー:秋元真夏、生田絵梨花、生駒里奈 、伊藤万理華、井上小百合、衛藤美彩、北野日奈子、齋藤飛鳥、斉藤優里、桜井玲香、白石麻衣、新内眞衣、高山一実、寺田蘭世、中田花奈、西野七瀬、樋口日奈、星野みなみ、堀未央奈、松村沙友理、若月佑美、伊藤かりん、伊藤純奈、川後陽菜、川村真洋、斎藤ちはる、相楽伊織、佐々木琴子、鈴木絢音、能條愛未、山崎伶奈、渡辺みり愛、和田まあや、伊藤理々杏、岩本蓮加、梅澤美波、大園桃子、久保史緒里、阪口珠美、佐藤楓、中村麗乃、向井葉月、山下美月、吉田綾乃クリスティー、与田祐希

作詞:秋元康  作曲:石井亮輔  編曲:APAZZI

引用:見出し 秋元康/ 設定温度