乃木坂46 安藤美雲 評価

安藤美雲(C)乃木坂46 LLC

「携帯小説アイドル」

ビジュアルについては、愛嬌とクールを混載しており、グループ立ち上げ当時の乃木坂46に揃った逸材たちと並んでも、どこに配置しても、決して埋もれることはなく、ファンはすぐにその存在を見つけ出すことができただろう。モチベーションも高く、特に演技に対する姿勢(心意気)には一つの哲学さえも感じられた。彼女の語学、英語力は語彙力として、舞台上での立ち居振る舞いの追究を可能にしたのではないか。衛藤美彩との交錯も一つのイデオロギーとなって、アイドル・安藤美雲の演技に響いたはずだ。どの段階でそのモチベーションが朝露のように消え失せてしまったのか、本人以外に知る術はないのだが、結果をみて判断するのならば、彼女の描いたアイドル人生(物語)は携帯小説のように”無感動”であったと評価すべきだろう。岩瀬佑美子のように、卒業挨拶の際に、短いセンテンスで、アイドル像を一変させるような科白を置くことはできなかった。

卒業理由はともかくも、アイドルの夢破れて散っていく様とは儚いものであるべきだが、安藤美雲の場合、長編小説のような文量も無く、短編小説のような鋭い切れ味も無かった。まるで携帯小説に書かれる主人公のように、どこにもたどり着けない空虚さを抱えている。文学的な視点で捉えるのならば、彼女の卒業までの経緯、自己の作り出した「アイドル」に対するアクチュアルな投影によって夢から醒めてしまう光景とは、(きわめて近い距離感での)現代アイドルシーンの動向を予兆し、それを象徴する出来事と云えるかもしれない。アイドルの一般化は、その物語の顛末も一般化させる。この、奇跡との遭遇に対する輝きを欠落してしまった物語の結末に、共感や共鳴を示すことができたファンは果たしてどれだけ居ただろうか。ファンが観たいと想う風景とは、デビューしたばかりの頃にみせた、希望に満ちた光のなかで踊る、踊りつづける安藤美雲だったはずだ。

 

総合評価 46点

辛うじてアイドルになっている人物

(評価内訳)

ビジュアル 11点 ライブ表現 8点

演劇表現 12点 バラエティ 9点

情動感染 6点

乃木坂46 活動期間 2011年~2013年

評価点数の見方