日向坂46(けやき坂46) 丹生明里 評判記

日向坂46(けやき坂46)

丹生明里(C)デイリースポーツ

「聖なるアイドル」

「何もかも忘れてしまいなさい。私たちはみんな温かな泥の中からやってきたんだし、いつかまた温かな泥の中に戻っていくのよ」とその女は言った。

ねじまき鳥クロニクル・第1部 / 村上春樹

丹生明里、平成13年生、日向坂46(けやき坂46)の第二期生であり、5代目センター。
無垢なアイドル、というカテゴリーにおいて類を絶した存在感を放っている。ピュアであったり、処女性であったりをアイドルの最高度の魅力として打ち出す少女は多いけれど、丹生がそうした少女たちと一線を画すのは、アイドルを演じ過ごす中で、つまり成長をしていくなかで、その生来の魅力を否応なく喪失し大人になってしまうアイドルたちとはまったく逆の歩みを描き、アイドルを演じることで無限の無垢に染まっていくからである。
その無垢さは、たとえば丹生にとって、「夢」とは、寝て見る「夢」となんら変わらない仮想の光景に広がるものであるというアンコンシャスによって強く裏づけられている。現実の出来事を頼りにしてアイドルを作るのではなく、彼女はあくまでもイマジネールを頼りにしてアイドルを作っている。
ゆえに、彼女にとっての、いつかかならず思い出になるもの、とは、現実での出来事、ではなく、仮想における経験、になるのではないか。
その意味では、現代人のなにがしかの一端を、アイドルとして体現・先取りした人物だと、値打ちをつけるべきかもしれない。彼女のようなアイドルは彼女一人で終わるのか、「丹生明里」を模倣するアイドルがこの先シーンに溢れかえるのか、まだわからないが、いずれにせよ丹生は現代のアイドルを象徴する可能性をもつと同時に、現代そのものを象徴するアイドルの一人として数えられる可能性をもっている。

 

総合評価 73点

アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

(評価内訳)

ビジュアル 16点 ライブ表現 14点

演劇表現 11点 バラエティ 17点

情動感染 15点

けやき坂46 活動期間 2017年~