「乃木坂に、越されました」で期待するアイドル

AKB48, ブログ

(C)日刊スポーツ

「乃木坂46と対等に渡り合えるアイドルを探る」

2021年7月7日、『乃木坂に、越されました~AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!​~』というやや前時代的なタイトルを付したテレビ番組がスタートした。フィクションを作る、という作り手の姿勢の強さを前に、賛否両論、ファンのあいだで話題になっているようだ。乃木坂46のファンにしてみても無関心を貫くのはむずかしいのではないか。いつだって追う者は追われる者に勝る、と歌ったラップ歌手がいたが、番組のタイトルがスクリーンに映し出された瞬間、乃木坂46は”追う者”から”追われる者”へとはっきりとすり替わったわけだ。
とはいえ、AKB48と乃木坂46、その両者のあいだには途方も無い距離、埋めがたい差が広がっているのもまた事実である。58枚目シングル『根も葉もRumor』は10年ぶりの純AKB48選抜構成を叶えており好感を誘うものの、やはりタレント不足感は否めない。AKB48だけでも現在80人以上のアイドルが在籍しているが、乃木坂46を眼前にして、これはと思うアイドルは10人にも満たない。
たとえば、今回乃木坂46と対等に渡り合えるアイドルとして4名の少女を探り当てたが、そこに柏木由紀、岡田奈々などの人気・知名度をある程度確立したアイドルは含まれていない。彼女たちの実力はたしかなものだろう。折り紙付きである。だがそれは裏を返せば、すでに才能の有無、アイドルとしての可能性への答えがはっきりと出てしまっている、ということでもある。つまり「希望」として輝かないのだ。この感慨は現在のAKB48の期別構成を確認すれば容易に説明できる。順位闘争の末、最後の一人まで生き残った「職業アイドル」の精鋭とも呼べるアイドルが柏木由紀や岡田奈々なのだが、彼女たち精鋭を持ってしてもこのAKB48の現状、いや、この惨状なのだから、残念だが彼女たちには才能がなかった、と結論するしかない。

現在のAKB48の期別構成・在籍人数(移籍除く)

0人  1期、2期、6期、7期、8期、11期
1人  3期、4期、5期、9期、14期 
2人  10期、ドラフト1期
3人  12期
4人  ドラフト2期
5人  13期
7人  15期
11人  ドラフト3期
13人  16期
37人  チーム8

よって当記事では、アイドルとしての可能性に余白をもつ、グループの「希望」として映る少女を探り当て、紹介する。ここに挙げる4名のアイドルはいずれも乃木坂46の「選抜」水準に達し得る可能性を秘めた登場人物である。『乃木坂に、越されました』の全容はまだ明らかにされていないが、番組を通し彼女たちがアイドルとして飛翔することを期待する。


谷口めぐ(C)オリコンニュース

谷口めぐ、平成10年生、第十五期生。
デビューからすでに8年経つ。若手や次世代と扱うことはできない。旬を過ぎてしまったかもしれない。だがグループのホープであることに変わりはないだろう。新曲『根も葉もRumor』においてようやく「選抜」のイスを手に入れた。そのストーリー展開からも『乃木坂に、越されました』のフラグシップは彼女になるのではないか。ビジュアル、ライブ表現力、演劇表現力、多様性…、グループアイドルを組み立てるステータスのあらゆる観点において乃木坂46的であり、乃木坂46ともっとも距離が近いアイドル。AKB48を透過させ乃木坂46を映し出すとき、谷口めぐの横顔はそこにはっきりと輪郭を残す。この逸材がデビューから8年間表題曲の歌唱メンバーに選抜されなかった、という点こそAKB48の混迷っぷりを証し立てている。


横山結衣(C)朝日新聞

横山結衣、平成13年生、Team8。
谷口めぐとは打って変わりAKB48のソフィスティケート。文字通り”踊り子”であり、ステージの上で舞うことでアイドルが物語られファンが活力を得る、といった古典的魅力にあふれる。ビジュアルも文句なし。個性的な風貌。アイドルとしての物語も「豊穣」の一言に尽きる。このひとの屈託の抱え方つまりはアイドルの演じ方には前田敦子を彷彿とさせる反動的沈黙があり、なかなか頼もしく感じる。しみじみと勇敢に嘆いている。主人公感を備えた稀有なアイドルと呼べるだろう。横山結衣の名前に指を屈することでのみ、AKB48は悪風を断ち切るための闘争の姿勢を構えることができる。「センター」を早急に検討すべき登場人物。


千葉恵里(C)千葉恵里公式twitterアカウント

千葉恵里、平成15年生、ドラフト二期生。
おそらく、現在のAKB48のなかで一番ルックスが良いアイドル。スタイルも良い。醸し出す雰囲気も独特。ひめやかで甘美な少女、といった印象。彼女に「希望」を感じるのは、ルックスが良いから、というよりも、そのルックスがファンに正当に評価されている点だろう。ルックスの良いアイドルがそのとおりに注目されるシーンこそ「健全」と云えるのではないか。乃木坂46が大衆に売れたのは、まずルックスが良いアイドルが居て、そのルックスを正当に評価するファンが彼女たちの前に立っていたからである。矢作萌夏、長谷川百々花のように唐突に倒れてしまうのか、わからないが、資質を問うならば間違いなくエース級。


山内瑞葵(C)朝日新聞

山内瑞葵、平成13年生、第十六期生。
AKB48の16代目センターであり、16期の旗手。ビジュアル良し、踊り良し、多様性有り、と隙のない端正なアイドル。しっかりとしている。安定感がある。「王道」という形容がよく似合う。こういうアイドルは作ろうと思って作れるものではないから重宝すべきだろう。じっくりと育成すべき人材。だが、グループの「次世代」の担い手として期待されるもいまいち壺にはまっていないようだ。それは彼女だけ他の若手アイドルとは違うフェーズに立っているからかもしれない。AKB48のセンターに立った以上、眼前に立つライバルとは、齋藤飛鳥であり、山下美月であり、遠藤さくらである。つまり強大な敵を前にして小ぶりに見えてしまう、アイドルが必要以上に小さく評価されてしまう、という現象が起きているのかもしれない。もちろん、これまでのAKB48の歴史において、齋藤飛鳥や山下美月を視界に捉える経験を持つのは山内瑞葵だけであるから、そうした意味では貴重な存在にかわりはない。



あとがき

乃木坂46に対抗し得るアイドルを探してみよう、という遊びは思いのほか楽しかった。わくわくした。今回、あらためてAKB48に所属するアイドルを眺め、特に若手アイドルに注目したのだが、もっとも痛感したのは少女たちの表現力の乏しさである。乃木坂46結成当時、あるいは『君の名は希望』発表当時、乃木坂46はルックスは良いけれどダンスは下手だよね、逆にAKBはルックスこそ劣るけれどダンスは上手い、といったチャントをよく耳にしたものだが、そういった声量はシーンに浸透したようで、シーンの主流がAKB48から乃木坂46へと移りかわった現在でも触れることが多々ある。だが実際にシーンを俯瞰してみればそういった声量がまったくの的外れであることは一目瞭然である。
現在のAKB48のライブを鑑賞すると、この幼稚さ、不活性は一体何なんだ、と困惑を禁じえない。おもうに、ダンスなら負けない、とか、歌なら負けない、とかそういった甘えがアイドルとファン、また作り手にあるのではないだろうか。AKB48と乃木坂46のどちらも意識的に眺め続けている人間から言わせてもらえば、今のAKBが乃木坂に勝っている点は一つもないように感じる。ビジュアルはもちろん、歌も、ダンスも、演技も、すべて負けている。AKB48にはヒット曲がある、と唱えるファンも多いけれど、そのヒット曲を歌い踊るアイドルがこれでは……。もちろん、これは一つのたとえであって、歌やダンスをとにかく頑張れ、と云っているわけではない。乃木坂46の相対として描出されるものに意識的にふるまうべきだ、という意見である。
乃木坂に、越されました、と言うのは簡単だけれど、才能や実力、つまり言い逃れのできない場所=境遇や時代を言い訳にすることができない部分で完全に敗北を喫している、という現実をほんとうに受け入れている人間ははたしてどれだけいるだろうか。

2021/07/12  楠木

 

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