日向坂46 こんなに好きになっちゃっていいの? 評価

日向坂46(けやき坂46), 楽曲

こんなに好きになっちゃっていいの?ジャケット写真(C)日向坂46

「中心になってしまった」

ミュージックビデオについて、

『ドレミソラシド』、『キツネ』と”前作”から既にこぼれ落ち音を立てていた小坂菜緒の「空閨」に焦点を置いており、きわめてクリティークな作品に仕上がっている。『こんなに好きになっちゃっていいの?』で描かれる主人公=小坂菜緒は現在のアイドルシーンにおいて、AKBグループ、坂道シリーズのなかで唯一儚く強い主人公として描かれている。独り、仮構のなかで踊る小坂菜緒は、メディア、コラムニストから絶賛されるだけのアイドルから脱却し、稚劣な思い込みが作るありふれた眺めを打倒しており、”君じゃなきゃ”という希求がたしかにある。この孤独を完成させる強さと美しさを具えた主人公は、アイドルの小坂菜緒の日常をノートに書き写したさきに産み落とされた登場人物なのか、あるいは作り手が予め用意していたアイディアに小坂菜緒本人がなりきったのか、出口が入り口につながっている迷路のように不気味な問いの提示があり、結果的に、自我を求め彷徨い、不安と憂鬱を抱える少女の現在(いま)を鮮明に映し出すことに成功している。ファンは仮構のなかで揺くアイドルを本当に知っていく。好きになっていく。
彼女はこのまま、自身を囲繞する妄執や幻想になりきり、ひかりに逆走しながら、ボロボロになりながら、自我をすり減らし、雨が降る庭に出て空を見上げずぶ濡れになるようなイノセントを握りしめながら、水たまりの上に倒れて動けなくなるまで、アイドルを演じつづけるのではないか、という身勝手な憧憬を、『こんなに好きになっちゃっていいの?』を演奏通過した小坂菜緒からは見出すことが可能である。

 

総合評価 68点

再聴に値する作品

(評価内訳)

楽曲 13点 歌詞 11点

ボーカル 14点 ライブ・映像 17点

情動感染 13点

歌唱メンバー:佐々木久美、富田鈴花、井口眞緒、丹生明里、上村ひなの、河田陽菜、高瀬愛奈、潮紗理菜、宮田愛萌、東村芽依、松田好花、金村美玖、佐々木美玲、渡邉美穂、高本彩花、齊藤京子、小坂菜緒、加藤史帆

作詞: 秋元康 作曲:前迫潤哉、7th Avenue 編曲:7th Avenue

評価点数の見方