AKB48 サステナブル 評判記

「サステナブル」
ミュージックビデオ、楽曲、歌詞について、
AKB48の56枚目シングル。センターは矢作萌夏が務める。
グループの救世主と持て囃されている矢作萌夏が早くも表題曲のセンターポジションに立った。フィクションを作る、という観点においてこれは文句なしの展開に映る。だが「次世代」を呼号するあたらしい主人公の登場を描いたにしては、まったく前を向けていないようにも見える。原点回帰をテーマにしているらしく、過去の思い出に寄り添いつつ、過去を受け継ぎつつ、次の世代のアイドルを活写する、という作風になっている。志そのものは高尚で素晴らしいとおもうが、ゆえにどこか軽く感じる。矢作萌夏をほんとうに「救世主」として描く、物語るつもりならば、やはり未来だけをみた、強い主人公を描くべきだろう。強い主人公さえ描いてしまえば、過去などというものは勝手についてくるものだ。
なによりも落胆するのは、楽曲および映像作品の質の低さだろう。このような容易に聴き減りする作品が表題曲では……。同時期に発表された乃木坂46の表題曲の相対として映し出されるこの幼稚さや浅さ、安易さを前にして、落胆を隠せるファンなど存在するのだろうか。
草原で踊る少女。風になびく草叢。選ばれた19人のアイドルに踏みつけられ倒れたままの無数の草花を眺め、想うのは、儚さではなく虚しさである。
総合評価 38点
人に聴かせる水準に達していない作品
(評価内訳)
楽曲 11点 歌詞 8点
ボーカル 7点 ライブ・映像 5点
情動感染 7点
歌唱メンバー:武藤十夢、倉野尾成美、吉田朱里、横山由依、坂口渚沙、本間日陽、須田亜香里、瀧野由美子、田中美久、石田千穂、岡部麟、向井地美音、白間美瑠、村山彩希、岡田奈々、矢作萌夏、小栗有以、柏木由紀、松井珠理奈
作詞:秋元康 作曲:井上ヨシマサ 編曲:井上ヨシマサ