日向坂46 Footsteps 評判記

「昨日とは違う」
歌詞、ミュージックビデオ、ボーカルについて、
映像そのものを「塗り込み」し差別化を図る、これはひどく平凡で空疎に映るものの、幻想の世界に飛び立とうとする少女や虚構への入り口として機能する筐体の煌めき、その扉の消滅など、ちりばめられたアイディアと目論見、あるいは、アイドルが描くぬくもりには一定の理解と共感を示すことは可能。センターに高本彩花を配置したことは、目新しさだけではなく、みずみずしさの獲得に成功した、と評価できるだろう。花びらが舞う中で咲い踊る彼女からは不気味な儚さを投げ付けられる。
ボーカルについては、どうしようもなく拙いが、(ユニット楽曲においては)アイドルの日常を自壊させない姿勢を崩さずに貫いた点は一定の評価を下すべき。特に、佐々木久美の傍観者的な抑揚のないボーカルには惹きつけられる物語性があり、『沈黙した恋人よ』の到達点以降の展開として成長の共有を満たす唄声と云える。
歌詞については、勇気と惨めさというのはすでに埋もれた物語かもしれない、と気付かされる。つまり再登場の観点でグループの現在(いま)と共鳴している、と読むことができる。
総合評価 59点
聴く価値がある作品
(評価内訳)
楽曲 10点 歌詞 12点
ボーカル 14点 ライブ・映像 12点
情動感染 11点
歌唱メンバー:佐々木久美、佐々木美玲、加藤史帆、高本彩花、小坂菜緒
作詞:秋元康 作曲:野井洋児 編曲:野井洋児