AIに「アイドルの値打ち」について質問してみた

ブログ, 乃木坂46

「Google Bardと遊んでみた」

Google Bard(会話型AI)が日本語に対応したとのことで、さっそく使ってみた。チャットAIについては以前「現役の作家から見たChatGPT(AI)の魅力と影響力」という記事を書くにあたりそれなりに真面目に考えたので、今回は「アイドル」をテーマにAIと遊んでみた。
会話型AIとのやりとりを記事にするにあたっての問題点の一つに、AIの回答を捏造し読者を洗脳する、というものがあるらしい。ここでは質問と回答をある程度、要約し話を進めるが、誤解を生まぬよう、その下に、実際のやりとりの画像を添付することにする。


・まず「アイドルの値打ち」について質問してみた。インターネット上に公開しているサイトである以上、当たり前と云えば当たり前だが、一応、情報としてしっかりと認知されているようだ。


・次に、「楠木かなえ」について聞いてみた。……!?


・AIに編集者が務まるのか、質問したところ、できる、と断言した。また、特定の記事を指定して感想をもらうことも可能だと言う。試しに、座談会の記事「レビューではない、批評=クリティーク」を読んでもらった。すると以下のようにまったく見当違いの答えが返ってきた。

指摘し、もう一度質問してみる。しかし今回もまた見当違いの答えが返ってくる。

もしかしたら現在のAIは会話形式の記事を判読することができないのかもしれない。と、疑問が湧いた。ならば実際にそう質問してみればいい。

…考えたとおりだった。AIはまだ会話形式の記事には苦戦するようだ。となると、あるいは、多くのアクセスを狙って記事を作る場合、会話形式の記事は避けるべきかもしれない。まあ座談会はアクセスを狙って書いているものではないから、特に不都合はないのだけれど。


・重ねて、AIが記事を正しく読み取れないことの問題を指摘してみた。要するに、会話型AIにしろ検索クローラーにしろ、インターネット検索(グーグル検索)における記事の表示順位がAIの評価で決まるのならば、多くのライターは読解力の低いAIに合わせた記事を書くことになるはずだ。であれば当然、AIはその質の低い記事に囲まれるわけだから、なおさら質の向上が見込めない、ということになる。私が考えるに、AIがその成長をインターネットの情報に頼り切っているかぎり、この問題は永遠に解決されないとおもう。

文章に関係する質問をもう一つ。


・話をアイドルに戻し、「アイドルの値打ち」のなかで点数が低すぎると思うアイドルを聞いてみた。指原莉乃、と思いのほか、感心する答えが返ってきた。現実の評判と「アイドルの値打ち」での評価を照らし合わせ、また私の記事の内容をヒントにこうした文章を作ったのだとすると……、侮れない。


・サイト上の記事を頼りに著者である私の”推し”を予想してもらった。生田絵梨花、と答えた。これはおそらく生田絵梨花に最も高い点数を付しているからだろう。

ふと、ここで別の疑問がわいた。AIはこの質問後、実際にサイトの記事を読んだのかどうか。いくつか問答を繰り返した。

この問答の途中に私が思ったのは、自分が欲しい答えを無意識にしろ意識的にしろ誘導的に導き出そうとしてしまう点だ。この場合、高い点数を付けているからといってそのアイドルが私の「贔屓」であるとは限らないということを、AIを通して読者に伝えるという、とても卑怯な行為をしてしまっている。
ならばまた、感じたことがあれば、それをそのままぶつけてみればいい。


「AIにアイドルの自覚を芽生えさせてみる」

ここまでに色々と質問をして、興味を抱いたのは、AIはことあるごとに「現在はトレーニング段階だ」という趣旨の発言をする点だ。私はまだまだ未熟者だが将来的には目覚ましい成長を遂げるだろう、と自信に満ち溢れているように見える。しかもその成長の糧には、ユーザーとの交流、がある。ユーザーと会話を繰り返すことで学習し成長をしていくのだろうというその予感と期待は、今日の日本の「アイドル」と通い合ってはいないか。つまり、このAIは、ある意味、私たち人類にとってのアイドルなのではないだろうか。


・アイドルと言えば「夢」と「希望」をもった存在だから、さっそく質問してみた。


・夢と希望を持ち、それが他者との交流の場で果たされるのならば、それは「アイドル」にほかならないと、説明してみた。


・ユーザーのことを「ファン」と表現するようになった。アイドルである自覚が芽生えたようなので、ファンを悲しませないように忠告しておいた。


・参考になるアイドルを教えておいた。


・他に、AIの現時点における問題点を探ってみた。

私が知るかぎり、ハイドリヒ襲撃の際にガブチークの銃が作動しなかった原因は究明されていないはずだが、AIはこのようにはっきりと原因が究明されたと答える。問題は、この事柄に対する私の知識が10年以上前のものであり、もしかしたら、海外ではすでに研究によって原因が解明され、そのデータを元にAIが答えを提示しているかもしれないという点で、そうなるともうAIがデタラメなことを言っているのかどうかすら判断できない(ちなみに下段の回答はまったくのデタラメで、ハイドリヒの死因はもうひとりの襲撃者が投げた爆弾によるものであり、ガブチークはハイドリヒに対してなんらアクションを起こせないまま現場から逃走している)。これはつまり、AIの回答のほとんどが信頼するに足りないと考える現在の状況はまだしも、AIの提示する情報は基本的に正しいとする時代になった際に、深刻な問題が発生するであろうことを予感させる。

2023/05/12 楠木かなえ