AKB48 川上麻里奈 評判記

AKB48

川上麻里奈(C)AKS

「川上麻里奈」

川上麻里奈、平成8年生、AKB48の第十一期生。
同期に川栄李奈がいる。川栄は、あらためて説明するまでもなく、11期のエースであり、AKB48の「次世代」の筆頭であり、卒業後の躍進が裏付けているようにAKB48を代表する一人、つまり逸材である。その川栄という才能を生んだ11期だが、川栄の成功に比して他の9名のアイドルの物語はきわめて貧弱である。かろうじて、小嶋菜月の物語に「特筆」を見出だせるかどうか、あるいは鈴木紫帆里のアイドルの成り立ちに奇抜さを感じられるか、といったくらいなもので、11期のほとんどがアイドルとしての物語に厚みを持たない。とくに岡﨑ちなみ、豊田早姫、そして川上麻里奈に関してはデビュー後6ヶ月経たずにグループの歴史から退いているため、アイドルに輪郭がない。当然、現役時代の情報は極端に少ない。
川上麻里奈、このひとはなかなか思い切りの良い性格の持ち主だったらしい。アイドルとファンのあいだに引かれるべき境界線を曖昧にする登場人物だったようで、一部のファンのあいだでその明け透けっぷりが話題となり、情動の広がりを描いている。ビジュアルにも目を引くものがあるように感じる。とは言っても、もはや数枚の写真を眺めその魅力を見出すほかに術はないのだが、当時のシーンのトレンドに鑑みても、なかなか悪くない。キュートなルックスをしている。セレクション審査を前にした脱落・脱退であるようだから、アイドルへの才能というよりもアイドルを演じるための覚悟あるいは境遇を手繰り寄せられなかった、ということなのだろう。この点は、きわめて類型的、と云うしかない。

うら悲しくおもうのは、ほとんどのファンが彼女の卒業(卒業という表現は妥当ではないかもしれないがあえて卒業と記そうとおもう)に際し動揺していない点である。2010年、これはシーンの上を歩く人間たちの、その人心の入れ替えが終わった時期、と読むべきだろうか。3期や4期の悲壮感が、すでに意識されない過去の物語となり、また直近の8期の顛末、その衝撃が大きかった所為だろうか、アイドルとファン、共にアイドルの夢の破断に対し心の深い部分まで麻痺してしまった感がある。だが、14歳でアイドルの扉をひらいた少女が、14歳のまま「夢」を閉じる、というのはどのような事情があろうとも、やはりそこに儚さを見てしまうし、積極的に見出すべきなのだろう。

 

総合評価 37点

アイドルの水準に達していない人物

(評価内訳)

ビジュアル 12点 ライブ表現 5点

演劇表現 5点 バラエティ 7点

情動感染 8点

AKB48 活動期間 2010年~2010年

 

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