乃木坂46 僕だけの光 評判記

のぎざか, 楽曲

(C)裸足でSummerジャケット写真

「僕だけの光」

楽曲、歌詞について、

15枚目シングル『裸足でSummer』のカップリング曲。第36回全国高等学校クイズ選手権の応援ソング。センターは齋藤飛鳥
若者に向けた応援歌だが、あくまでも、アイドルを演じる少女の内に見出す屈託に寄り添った詩情を記している。アイドル=若者、ではなく、アイドルが若者を象徴している、という考え・自負が作り手の内にあるのだろうし、そういった社会とのつながりのようなものも打ち出していかなければならないのだろう。
乃木坂46の特徴、”売り”とは、自我の模索劇をアイドルの物語の核にしている点、つまり自己啓発感であり、グループに加入した少女の多くが屈託に満ちた前日譚を抱えているし、それを物語としてファンの前で語っている。今作も、自己の存在理由を問いつつ、その屈託から這い出ようとする物語を記している。とくに、タイトルにも付されている”僕だけの光”、この、他人とはどこか違う感性をもつことの違和感を、それが個性なんだ、と励ましている点などは、センターで踊る齋藤飛鳥の横顔と通い合っている。やはり「アイドル」を通して夢を語る、若者の背中を押す、という自己啓発を狙った作品だと感じる。

ただ、現在を生きる若者に向けた応援ソング、というテーマを前にして楽曲を眺めてみると、作詞家が若者の目線に降り立って人生を語らっているだけにしか見えず、いまいち説得力に欠ける。距離感がつかめていない。この音楽を聴くことで果たして本当に若者は背中を押されるのだろうか。疑問。というのも、作詞家・秋元康の得物とは「青春の反復」にあるはずだが、今作に限って云えば、これは青春の回想にすぎず、実際に過去に還り、過去の光景の中に立つ、という作業を試みていないように感じる。ほんとうに過去に還ったのならば、若者が自分の影の大きさに悩んだり、太陽を眩しく感じたりと、そのような情感あふれる詩情は浮かんでこないだろうし、書き出そうともおもわないだろう。影の大きさを測り、生きる意味を考える……、そんな視野角の広い若者が、はたしてこの時代にどれだけ存在するだろうか。若者の魅力とは、周りが見えていないこと、ではないか。であれば、周りが見えていない人間に、洞察にあふれる主人公の物語を読み聞かせても、想いは届かないだろう。仮にこの詩情が心を打つのだとしたら、おそらく、それは夢の入り口から一歩あるいは二歩、踏み込んだ後ではないだろうか。要するに、若者に向けた応援ソングにしては、詩情が先回りしすぎている。

 

総合評価 57点

聴く価値がある作品

(評価内訳)

楽曲 12点 歌詞 10点

ボーカル 13点 ライブ・映像 12点

情動感染 10点

歌唱メンバー:秋元真夏、生田絵梨花、生駒里奈、衛藤美彩、北野日奈子、齋藤飛鳥、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、中元日芽香、西野七瀬、橋本奈々未、星野みなみ、堀未央奈、松村沙友理、若月佑美

作詞:秋元康 作曲:Hiro Hoashi 編曲:Hiro Hoashi

 

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