乃木坂46 魚たちのLOVE SONG 評判記

のぎざか, 楽曲

(C)太陽ノック ジャケット写真

「魚たちに言葉はある」

楽曲、歌詞、ミュージックビデオについて、

12枚目シングル『太陽ノック』のカップリング曲。
「魚」を「アイドル」に喩えている。言葉つまり感情をもたない魚にも「言葉」はあり歌をうたっている、というイノセンスをアイドルに重ね合わせている。
この詩情に呼応するように、アイドルが作られていく過程を直截に映像化したMVが制作された。
魚たち=アイドルにも「言葉」はある。テーマそのものはグループデビュー当時から訴えてきたものと変わらず、「反抗」だが、この『魚たちのLOVE SONG』ではその「反抗」をアイドルとしてのアイデンティティの萌芽として描いており、なかなかおもしろいと感じる。演じ作られる「アイドル」にも自我は宿る、あるいは、やがて自我は芽生える、ということを表現、予言している。
水の中、これは『ガールズルール』のイメージから引用されたものなのだろう。この「水」は以後もアイドルの明喩として準備されつづける(たとえば『冷たい水の中』はその代表格と呼べるだろうか)。
白石麻衣、高山一実、橋本奈々未、深川麻衣によるユニット楽曲ではあるが、「水」の系譜に立つ白石麻衣をセンター=主人公として明確に描いており、後日、乃木坂46ひいては坂道シリーズの物語の作り方、つまり自己啓発を下敷きにした自我の模索劇というアイドルの有り様の象徴となった彼女の、その端緒あるいは胎動が今作品には刻印されている。自分の演じ作ったアイドルに自我が芽生えたことによってほんとうの自分(しあわせ)を見失ってしまう、というストーリー展開を白石麻衣は記すことになる。グループの通史に意識的にふるまうファンであれば、新旧問わず、一度は聴いておく価値のある楽曲と云えるだろう。

 

総合評価 54点

聴く価値がある作品

(評価内訳)

楽曲 10点 歌詞 12点

ボーカル 9点 ライブ・映像 12点

情動感染 11点

歌唱メンバー:白石麻衣高山一実橋本奈々未深川麻衣

作詞:秋元康 作曲:渡辺拓也 編曲:渡辺拓也

引用:見出し 秋元康/魚たちのLOVE SONG

 

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