欅坂46 ガラスを割れ! 評判記

「ガラスを割れ!」
歌詞、ミュージックビデオについて、
若者のフラジャイルな部分を「ガラス」に喩え、それを「割れ!」、とあくまでもグループアイドルを鏡にしつつ、夢を掴むための反動を教えている。ミュージックビデオの構図をみてもわかる通り、今作は、『サイレントマジョリティー』のモノグラフであり、グループがいよいよ本格的にその啓蒙の枠組みの中で溺れはじめたことを告げる、自己模倣品と云えるだろう。「目の前のガラスを割れ!」、と歌うアイドルが、「檻から抜け出せ」、と記す作詞家が、当の本人が自己の枠組みの中で走り回っているだけなのだから、どうしても自家撞着に映ってしまうわけである。だが、この滑稽な自家中毒を晒す行為に打ち込み、徹底し、洗練された結果、『黒い羊』が書かれ、『10月のプールに飛び込んだ』へとたどり着き、散文=物語を描いたことに鑑みれば、自己模倣と云っても、しかしこれは、己を成長させる”反復”だったのだろう。平手友梨奈の自己劇化にも明確に触る。文句なしのモノグラフを活写した、と評価できるのではないか。*1
また、今作『ガラスを割れ!』には『もう森へ帰ろうか?』や『イマニミテイロ』といった表題曲を凌ぐ良作が収録されており、贅沢な一枚になっている。
総合評価 52点
聴く価値がある作品
(評価内訳)
楽曲 11点 歌詞 12点
ボーカル 10点 ライブ・映像 12点
情動感染 7点
引用:*1 秋元康 / ガラスを割れ!
歌唱メンバー:平手友梨奈、今泉佑唯、小池美波、渡邉理佐、齋藤冬優花、長沢菜々香、原田葵、織田奈那、米谷奈々未、佐藤詩織、石森虹花、志田愛佳[23]、上村莉菜、菅井友香、長濱ねる、守屋茜、尾関梨香、渡辺梨加、土生瑞穂、鈴本美愉、小林由依
作詞: 秋元康 作曲:前迫潤哉、Yasutaka.Ishio 編曲:APAZZI