NGT48 世界の人へ 評判記

NGT48, 楽曲

(C)世界の人へ ジャケット写真

「世界の人へ」

歌詞、楽曲、ミュージックビデオについて、

NGT48の4枚目シングル。センターに立ち踊るのは荻野由佳。
荻野由佳が表題作のセンターに立つのはこれで2度目だが、
4作目にして、過去に表題曲のセンターポジションに立ち、物語の主人公として描かれたアイドルが(兼任中の柏木由紀を含めれば)すでに4名存在しており、そのペース、グループのスタイルから、人間喜劇誕生への憧憬を作っている。
しかし実際に今楽曲に触れてみると、落胆を抑えられない。明暗がなく、毒にも薬にならない作品と評価せざるを得ない。タイトルを見てわかるとおり、なにか普遍的なテーマを求め、うたっているのだろう。だがあまりにも漠然としすぎていて”本当”はなにを伝えたいのか、みえてこない。ミュージックビデオにしても、噴水広場で踊りはじめた荻野由佳、彼女が演じるアイドルにあるのは、喜怒哀楽の、喜、のみであり、アイドルの歓喜としての気分は存分に味わえるものの、シングルのテーマ、またグループの打ち出すそのアイドルの有り様から期待する群像は、アイドルの高揚感の強さによって遮られてしまう。
一体、何のためにこの光景をみせられているのか、疑問を抑えられない。たとえば、おなじような命題を扱った乃木坂46の『sing out!』は、コロナ禍であらためて歌われた際、楽曲に書かれた詩情が時代を迎え撃っていたかのように映った。それは楽曲そのものに普遍性が備わっていたから、なのだが、今作『世界の人へ』からはそのような遠景を望むことは、とてもできない。乃木坂46の、ひいては坂道シリーズの模倣を試みるのならば、衝動的な喜びに満ち溢れた若者が、傘もささずに空を見上げ、雨に打たれながら、世界の人へ、と呟くような妄執、軽佻さ、つまりグループアイドル特有の凡庸さを描き出すべきではないか。
20名を超える「選抜」があたりまえになった昨今、歌唱メンバーが16名という点は好印象。

 

総合評価 35点

人に聴かせる水準に達していない作品

(評価内訳)

楽曲 8点 歌詞 7点

ボーカル 7点 ライブ・映像 7点

情動感染 6点

歌唱メンバー:荻野由佳小熊倫実、柏木由紀、加藤美南、菅原りこ、高倉萌香太野彩香中井りか中村歩加、西潟茉莉奈、西村菜那子、奈良未遥、長谷川玲奈、本間日陽、山口真帆、山田野絵

作詞:秋元 康 作曲:Mr.LIVE 編曲:立山秋航

 

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