SKE48 いきなりパンチライン 評判記

「背中を追いかけて」
歌詞、楽曲、映像作品について、
SKE48の23枚目シングル。センターポジションで踊るのは松井珠理奈。
松井珠理奈が「センター」に帰還した。過去2作品の「センター」を務めた小畑優奈に対する期待感、つまりあたらしい主人公の本格的登場のあとに再び過去の主人公が再登場するという展開に対し、ファンは少なからず動揺し嘆いた。後日の話が許されるならば、『いきなりパンチライン』はグループの戦略的な失敗を決定づけた作品であり、その楽曲の質の低さもあいまってSKE48の大きな端境期になった楽曲、と評価すべきだろう。
作品そのものについては、詩的世界の構成、家郷の構築と、グループアイドルの物語を語るための準備に余念がない。よく練られ、しっかりとした安定感があり、アイドルの表情も豊かだ。しかし、そこから「熱」が伝わってこない。生身の、人肌の温かみのようなものがまったく感じられない。表現への行為の瑕疵というよりも、作り手とファンの嗅覚がおおきくすれ違ってしまったのが原因ではないか、とおもう。乃木坂46の『インフルエンサー』の失敗から一体何を学んだのか、過去の経験がまったく活かされていないと感じるのは、そもそも作り手が過去の失敗を成功と捉えているからだろう。このような自己模倣の行きつく先は洗練ではなく隘路と自家撞着である。これが表題曲では、演者があまりにも不憫だ。
総合評価 34点
人に聴かせる水準に達していない作品
(評価内訳)
楽曲 6点 歌詞 5点
ボーカル 11点 ライブ・映像 7点
情動感染 5点
『いきなりパンチライン』 歌唱メンバー Team S:北川綾巴、松井珠理奈 Team KⅡ:江籠裕奈、大場美奈、小畑優奈、惣田紗莉渚、高柳明音、竹内彩姫、日高優月、古畑奈和 Team E:鎌田菜月、熊崎晴香、佐藤佳穂、末永桜花、菅原茉椰、須田亜香里
作詞:秋元康 作曲:川浦正大 編曲:APAZZI