乃木坂46 曖昧 評判記

「僕はここにいる」
歌詞、楽曲、ボーカルについて、
間断なく我執を砕きながら気まぐれに、息継ぎなしに展開して行く。アニメーションを言葉に移し替えるような描写。唐突にひきこまれ、つきはなされる。松村沙友理の作る外連が収斂を迎えた。フィクションへの思い込みが、虚構の通過が「見えない真実」に彼女を遭遇させたのかもしれない。ままならない日々、「キレイゴトばかりじゃない」毎日が、「自分の居場所を見つけたかった」、「必要とされたかったんだ」というモノローグが物語=嘘を作り「見えない真実」へと到達させた。演者でありながら、松村沙友理は詩的責任への関与を言い逃れできない。声優的演技と演出。アイディアの混載、丹念に作られた乱脈。「曖昧」にされた現実と虚構の境界線。「からあげ姉妹」を両足で立たせ、運動神経を与えたのは生田絵梨花だが、しかし、今作を前に、その事実は久しく揺さぶられ、目がくらむ。『曖昧』のなかでは、生田絵梨花と松村沙友理は同一の視点で描かれていない。同じ物語の登場人物として扱われていない。「光と影」を遠望し空中に漂う生田絵梨花に対し、松村沙友理は絶望に戻っていく。彼女が「いる」のはここではない別のどこか。*1
総合評価 71点
現在のアイドル楽曲として優れた作品
(評価内訳)
楽曲 14点 歌詞 15点
ボーカル 16点 ライブ・映像 13点
情動感染 13点
歌唱メンバー:生田絵梨花、松村沙友理
作詞:秋元康 作曲:doubleglass 編曲:doubleglass
引用:見出し、*1 秋元康 / 曖昧