日向坂46 ときめき草 評価

日向坂46(けやき坂46), 楽曲

(C)ときめき草 ミュージックビデオ/日向坂46

「ときめき草」

ミュージックビデオ、歌詞、楽曲について、

イントロダクションが作る疾走感、群像は素晴らしいの一言。舞台『あゆみ』で横一列に並んだ演劇が、中心軸から拡散するように「個」として屹立しはじめている。松田好花、柿崎芽実、渡邉美穂の演技は他のアイドルを置き去りにしており、特に松田好花の表現力は白眉と云えるだろう。だが、あたらしい物語の誕生を、楽曲に提示された物語にアイドルがどのように呼応するのか、期待感を自覚した瞬間に何時もと変わらないダンスがはじまって落胆させられる。冒頭で描いた演劇が身悶えすることなく減衰して行く「日常のヒトコマ」。雨のなか傘を差すが、太陽の下で両手を広げるが、そこに憂いはない。心の深奥を溢さない。雨に打たれても彼女たちは笑っている。咲いながら柵によじ登り越えようとする。アイドルたちはこれまでと変わらず最後は笑いながら同じ場所に向かって一斉に走り出す。喪失や成熟への兆しは一つもうかがえない。(*1)

もっとも辟易させられるのは、笑顔の硬直したひとりの少女を主人公に置く決断そのものではなく、それを説得するためのサブリミナルを「心のその片隅」に無理やり押し込められる人為的な”構図”だろう。「恋の花をそっと守りたい」と希求した物語を戦略的に模倣する企みが見え透いていてウンザリしてしまう。「過去のどこかにヒントはあるよ」という科白は虚しく響くだけだ。西野七瀬のメランコリーを複製しようと試みても、焼き上がるのは屈託という贋作のみである。この事実を作りては意識的に看過しているようにおもう。意図的に共時性を付与する脚本はあまりにも無垢で浅薄。『キュン』、『JOYFUL LOVE』、『ときめき草』は焦点の定まらない連綿であり、総じて、シーンの行き詰まりを映す鏡と云える。(*2)

 

総合評価 55点

聴く価値がある作品

(評価内訳)

楽曲 12点 歌詞 10点

ボーカル 10点 ライブ・映像 13点

情動感染 10点

歌唱メンバー:井口眞緒、潮紗理菜、柿崎芽実、加藤史帆、齊藤京子、佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈、高本彩花、東村芽依、金村美玖、河田陽菜、小坂菜緒、富田鈴花、丹生明里、濱岸ひより、松田好花、宮田愛萌、渡邉美穂、上村ひなの

作詞: 秋元康 作曲:御子柴リョーマ 編曲:御子柴リョーマ

引用:(*1)(*2) 秋元康 / ときめき草

評価点数の見方