乃木坂46 ジコチューで行こう! 評判記

のぎざか, 楽曲

ジコチューで行こう!ジャケット写真 (C) 乃木坂46

「ジコチューで行こう!」

歌詞について、

乃木坂46の21枚目シングル。センターは齋藤飛鳥。
人生の転換点に立った人間の背中を後押しするようなセリフを、あくまでも平易に、若者の視線に降りようと奮闘しつつ、時代の短い距離感におけるワードセンスをもって述べている。だが、情報への感覚が鈍いのか、アイドルの現在を待ち構え迎え撃つ、というよりも、アイドルの現在を描写しようと試みるも置き去りにされてしまった感がある。とくにセンターポジションで踊る齋藤飛鳥の成長スピードに詩情がまったく追いついておらず、作詞家とアイドルとのあいだに大きなへだたりが生じている。流行りのワードを持ち込めば、その時代を反映した作品になるのか、と云えば、もちろんそんなことはない。肝心なことは、「現在」を鮮明に写実しようと試みる衝動性であって、流行り廃りを記録することではない。アイドルを演じる少女の成長を迎え撃つ抱擁、啓蒙に作詞家・秋元康の凄みがあると思うのだが、今作に限って言えば、タイトルのセンスの無さからも、すべてが悪ふざけにしか見えない。

ミュージックビデオについて、

齋藤飛鳥のセンター楽曲ということで、「裸足でSummer」のミュージックビデオとの連なりをつよく意識したのか、あるいは安易に過去作品を模倣したのか、わからないが、世界観の伝え方が酷似している。良くも悪くも目立ったキズのない平均的な作品といった印象。映像そのものは綺麗だが、フィクションの中に明確な”作り物”を置きつつ、なおかつ、”作り物”なのか”リアル”なのか判断に躊躇する演出もあり、腑に落ちない、もったいないと感じる。アイドルに強い演技要求がされておらず、ただのバカンスの延長に見えるのは評価が分かれるところか。
白石麻衣が笑顔の作り方をミュージックビデオの内で確立したように、齋藤飛鳥もまた、今作で笑顔の作り方を確立させたようにうかがえる。そのケレンは後日発表される「sing out!」で結実することになる。

 

総合評価 55点

聴く価値のある作品

(評価内訳)

楽曲 13点 歌詞 7点

ボーカル 13点 ライブ・映像 12点

情動感染 10点

歌唱メンバー:齋藤飛鳥、秋元真夏、生田絵梨花、井上小百合、岩本蓮加、梅澤美波、衛藤美彩、大園桃子、齋藤飛鳥、斉藤優里、桜井玲香、白石麻衣、新内眞衣、鈴木絢音、高山一実、西野七瀬、星野みなみ、堀未央奈、松村沙友理、山下美月、与田祐希、若月佑美

作詞:秋元康 作曲:ナスカ 編曲:野中”まさ”雄一

 

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