AKB48 青春と気づかないまま 評判記

「リノリウムの床で鳴いてた上履き」
歌詞、楽曲について、
テレビ・ドラマ「マジすか学園」のエンディングテーマ。
「マジすか学園」で描かれる物語の背景、とくに登場人物の「序列」は、現実世界におけるアイドルの人気・実力つまり「序列」そのものを高水準でリンクさせたものであり、現実の活用によって、現実と仮想の混交を映している。今作「青春と気づかないままに」もグループアイドルの群像とのリンク、響き合いがあり、ファンにアイドルの情動を感染させることを成功している。ドラマが担った役割とその成果を、どこまで今楽曲の評価に重ね合わせるべきか、躊躇するものの、「青春と気づかないままに」は、アイドルの性格を補完する、あるいはそのまま決定づけるような虚構の構築を実現しているのは間違いない。
この楽曲の詩的世界に提示される時代錯誤(たとえば、青春の犠牲を抱きしめる少女たちに、アイドルそのものが青春であるのだと啓蒙するイノセンス)は、アイドルの本質的なジャンルらしさや普遍的な偶像という命題を前にすれば、どの時代であっても描くべき情景のひとつと云えるかもしれない。なによりも、そこに示された、アイドルの本質的な順位闘争へのもだえに対する抱擁と、「アイドル」の先に見える泡沫の夢への屈託は、アイドルとファンの成長共有の観点において文句なしの描写と評価できるだろう。幸か不幸か、いまのところ、この楽曲に付された詩情から逃れられたアイドルは一人も存在しない。
総合評価 82点
現代のアイドルシーンを象徴する作品
(評価内訳)
楽曲 18点 歌詞 18点
ボーカル 14点 ライブ・映像 14点
情動感染 18点
歌唱メンバー 秋元才加、板野友美、市川美織、大島優子、多田愛佳、大場美奈、河西智美、柏木由紀、菊地あやか、北原里英、倉持明日香、小嶋陽菜、小森美果、指原莉乃、佐藤すみれ、篠田麻里子、島崎遥香、島田晴香、高城亜樹、高橋みなみ、永尾まりや、仁藤萌乃、前田敦子、前田亜美、松井珠理奈、松井玲奈、峯岸みなみ、宮崎美穂、宮澤佐江、山内鈴蘭、横山由依、渡辺麻友
・作詞 秋元康 ・作曲 y@suo ohtani ・編曲 野中“まさ”雄一