SKE48 須田亜香里 評価

「徹底した気配りが醸し出す不気味な迫力」
「ビジネス」と表現すると反撥があるだろうが、現代のアイドルをビジネスと捉えた時、須田亜香里は紛れもなく才気を持った成功者だと表現できる。著書が自己啓発本でありながらも私小説のような響きをもつのは、彼女の客観的自己認識による功績だろう。
投機を例にすれば、須田亜香里が採用している手法は古典的(王道)なトレンドフォロー戦略に似ている。勝率が低くても、その手法に(自分自身に)勝利への確信があるから、小さな損と小さな傷に耐えながら、いつか訪れる、いつ訪れるかわからない「大勝」を待つことができる精神をつくれるのだ。
確たる概念のもとに構築された単純な規則は、決まった市場行動に合わせて作られた複雑な規則よりも、実際の取引で持続的にうまく働くだろう。システムを単純に保てば、長期にわたって優れたパフォーマンスが得られることがわかるはずだ。
(カーティス・フェイス「タートル流投資の魔術」)
では、ビジネスなら真似をすれば自分も勝者になれるのではないか?と愚か者(新米アイドル)は考えることだろう。残念ながら、真似ることはできない。イチローのバットを借りて、イチローの言う通りにスイングしたらプロのピッチャーの球を打てるだろうか?誰もが、打てるわけがない、と答えるはずだ。アイドルも、投機も、まったく同じである。これはもう才能と努力の世界なのだ。
兜町で昔から店を開いている鰻屋は、大変ユニークな勘の持ち主です。 その日、お客が何人来るかが、早朝、店の前を通る証券マンの足音でわかる、というのであります。飲食業で働く方の多くは、曜日や天候、景気の善し悪しなどから、経験的な勘を働かせてお客の入りを計算しているそうですが、鰻屋の主人もこれらを踏まえた上で、「足音」を最後の決め手として仕込みの数を決定しているそうであります。 江戸時代の商人はこのような勘を大切にしました。勘の精度は一般的には経験によって高められるものですから、年配者の勘は特に注目されました。そして勘を働かせて一歩先を読み取る人を、碁の言葉を用いて一目(いちもく)先を読む人と称して尊敬したそうであります。
(経済変動総研 細田哲生)
アイドル・須田亜香里は「握手」の代表と目されている。彼女が同じカテゴリーに分類されるアイドルたちの追随を許さない理由は、彼女もこの”一目”の持ち主だからである。経験的な勘によって、その日はじめて出逢った人間の心を読む。そして、どんな話でも、熱心に傾聴する。興味の湧かない話でも興味がある素振りをみせる。人は興味が無いことでも、それに興味がある立場を取り続ければ、自然と自分もそれに関心を抱いてしまうものだ。彼女はそのことを熟知している。彼女は話し相手に合わせて演じる「役」をスマートに切り替えることができる。アイドルにとってのドラマツルギーを理解している。そして、そのような物腰の柔らかい姿勢とは別に、ひとたび序列闘争の場に立てば、強烈な闘争心を発揮し、それをファンに伝播させ強固な共闘関係を作る力をもっている。アイドルシーンの現状にきわめて則した人物と云える。
総合評価 58点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 5点 ライブ表現 13点
演劇表現 15点 バラエティ 14点
情動感染 11点
SKE48 活動期間 2009年~
引用:(*1)見出し 福田和也「総理の値打ち」