SKE48 新海里奈 評判記

SKE48

新海里奈 (C) 週刊AKB/AKS

「ヘリウムボイス」

新海里奈、平成4年生、SKE48の第一期生。
平成の暮れ、現在、あらためて新海里奈というアイドルの横顔を眺めるも、彼女の残したストーリーの内に特筆すべきものを見出しアイドルを一つのフィクションとして両足で立たせることはできなかった。
15歳でアイドルの門を開く。アイドルグループSKE48の立ち上げメンバーの一員であり、かつアイドルとしての活動期間は2年とけして短くはなく、存在感はそれなりにあるようにおもう。だが肝心の「物語」がない。デビューから卒業まで、グループのファンのあいだで唯一話題に挙がったのが「研究生への降格」という点もアイドルとしての弱さを証しているようにおもう。

強いて言えば、声に特徴がある、というキャラクターを作ったところに、この少女の、アイドルの語り口がある、と云えるだろうか。このひとは、奇抜な作り声の持ち主で、たとえば乃木坂46高山一実のように、ピエロを演じている。少女が、アイドルとして売れるために、自己をアッピールするために、奇抜なアイデアを用いる、そしてやがてその自己を偽る行為に屈託する、というのは心が挫けるほどありふれた光景なのだが、高山一実同様、新海もまたこの類型に嵌っている。
自分に嘘を付いてでも、自分からそれを眺めても、ファンがそれを眺めても、滑稽明らかなものを晒しつづけることで、人気・知名度を獲得できるならば、あるいは問題はないのだろう。けれど、往々にして、そのような幼稚なアイデアによってアイドルに光が宿る、などということは起こらない。起きるのは、自己を偽ってでも作り上げたその「アイドル」にまったく光が差さないという現実に向けた葛藤、疲弊である。新海もこの典型よろしく、
もうヘリウム切れです、と朗々と語り、アイドルの扉を閉じている。

 

総合評価 44点

辛うじてアイドルになっている人物

(評価内訳)

ビジュアル 9点 ライブ表現 9点

演劇表現 5点 バラエティ 10点

情動感染 11点

SKE48 活動期間 2008年~2010年

 

乃木坂46の『人は夢を二度見る』を聴いた感想

「アイドルの可能性を考える 第二十一回 人は夢を二度見る 編」 メンバー 楠木: ...

乃木坂46 心にもないこと 評判記

「心にもないことを」 ミュージックビデオについて、 『人は夢を二度見る』のカップ ...

「アイドルの値打ち」の使い方 ライブ表現力 編

「アイドルの可能性を考える 第二十回 「アイドルの値打ち」の使い方 ライブ表現力 ...