SKE48 稲垣ほなみ 評価

SKE48

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「語るなら未来を」

稲垣ほなみ、平成1年生、SKE48の第一期生。
典型的な情報の錯誤とその囲繞により、ファンだけでなく、アイドルを演じる少女自身もまた「撹乱」によってアイドルのコンテンツそのものに打ち込むことができず、不本意な結末を記している。
2008年にデビューしたSEK48、グループのオープニングメンバーとして揃えられた23名のアイドル(AKB48から移籍した中西優香を含む)。不完全さを抱えた少女たちの物語、そこにはじめて「卒業」の二文字を刻んだのは、2008年11月24日に卒業した鈴木きらら。その翌年、2009年には6人の少女がアイドルの物語に幕を閉じている。2010年には2人。2011年に1人。2012年に2人。2013年に4人。2014年に2人。2015年に3人。2017年に1人。2020年に最後の1期生である松井珠理奈が卒業(10月に卒業予定)、とデビュー後4年間で第一期生のうち半数のアイドルが栄華を手にれつつあるアイドルシーンから姿を消したこと、2013年に桑原、高田、平松、矢神の同時離脱など、ファンを動揺させる話題に尽きなかったものの、黎明期にくり広げられる、順位闘争のもっとも熾烈な期間にあたる2009年を除けば、各年の卒業者数そのものは、今日、あらためて俯瞰するも特筆に値する数字ではない。おそらく、グループのファンにもっとも不安をあたえたのが2009年であり、とくに、正規メンバーに昇格することなく、研究生の立場のままグループを去った尾関きはる、柴木愛子、前川愛佳、そして稲垣ほなみの4名のアイドルの後姿は、ブレイクを確信しつつあったAKB48の光り、そこ差す影の部分に自分たちの「SKE48」が在る、と認識せざるを得ない心理状態へと、グループの深い場所にのめり込もうとするアイドルファンを追い込んだ。
自分の応援するアイドルが、「会える」ことがあたりまえのアイドルが、何時、グループから卒業してもおかしくない、という情況、青春の犠牲だけではなく、青春の犠牲を実らせずに倒れてしまうアイドルの物語の上にこそ儚さが立ち現れるのか、という自問自答にファンは早くも直面する。
デビュー直後、成長共有への膨大な余白を抱えた少女たちを前に、アイドルに対し作られたファンの話題、アイドルに向けられた情熱、あるいは誹謗中傷、その中には、卒業への想像、これは当然ほとんど描かれていない。だが、2009年の結果を目の当たりにしたファン、彼らは以後、アイドルの日常の些細な変化を目撃した際に、まず「卒業」の二文字が頭に過るようになる。彼らがアイドルを語る際に働かせる想像力の原動には、避けようのない出来事への覚悟が根付いている。

ただし、このような感傷とアイドル個々への観照は切り離さなければいけない。すべてのアイドルの卒業に、喪失感や哀惜があるわけではない、という事実を看過して郷愁に浸る行為は避けなければいけない。
わずか9ヶ月でアイドルを卒業した稲垣ほなみの物語には、語るべき場面はほとんどない。ならば、もし、あのとき、学業専念といった、ファンが安易に納得することのできない卒業理由を提示せず、アイドルを続けていたら、といった仮定の未来を語るならばどうだろう、残念だが、彼女の姿形をどれだけ眺めても前川愛佳のようなアナザーストーリーには遭遇できなかった。つまり、憧憬に乏しいアイドルだと判断せざるを得ない。
グループを去る仲間に向けた悲痛な涙とおなじ心の叫びを、自分がアイドルを卒業する日、多くのファンからその背中に浴びることは叶わなかった。

 

総合評価 32点

アイドルの水準に達していない人物

(評価内訳)

ビジュアル 5点 ライブ表現 6点

演劇表現 5点 バラエティ 7点

情動感染 9点

SKE48  活動期間 2008年~2009年

 

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