NGT48 中井りか 評価

中井りか (C) 木村陽仁/ 2019. MusicVoice

「同情するなら金をくれ」 

NGT48の初代センターである。
アイドル界に彗星の如く現れたホープレスルーキーである。中井りかは、ある意味では、現在、最も注目を集める、衆目を浴びる若手アイドルと云って良い。観者に「今回だけは黙って見過ごせないぞ」と行動させる特別な力をもっている。

ビジュアルについては平均点以上をつけられるキュートなアイドルだが、あらゆる場面において表情がまったく変化しないというのは、なんだか少し、不気味である。まるで、内側から滲み出て来ようとするなにかを必死に食い止めているような硬直した表情、笑顔をみせるのだ。その押し殺した感情とは別に、彼女は葛藤を惜しげなく披露する。中井りかは、「葛藤」を過剰にファンにむけて吐露するタイプのアイドルである。この葛藤を披露する姿にファンも含め「大人たち」の情動を引き起こし、籠絡し、現在の豪華なキャリアを得たようである。しかし、これはひとことで云うと、品がない。特に口元が「お下品」である。口は災いの元と言うが、果たして彼女の場合には、どのような顛末が訪れるだろうか。

アイドルの葛藤や苦悩とは、ファンが見出し、その意味を考えるべきものであり、アイドルが自らすすんで提供する類のものではない。これをファンと同時に共有してしまうというのは、なんとも矜持の欠落した行為である。しかもそれが易易と成立してしまう状態というのは、その狭い空間とは、アイドルとファン双方が幼く、未成熟な集合体と云えるのではないか。アイドルの耽美の現れ方のひとつとして「秘すれば花」があるが、そこからもっとも離れた場所に居る、ドラマツルギーという日常の演技と役割を放擲している、と云えるだろう。

なんで拝むんだってったら、天皇陛下は神様だって言うんですよね。
正直言って、子供心に納得いきません。天皇陛下が神さん?だって写真で見ると人間の形してますからね。
神様ってなんか形があるような、ないような、もし人間の形してるとしたら、腰から下は幽霊のようにフワァ~と何だかわかんなくなってる、そういうようなもんじゃないかというような頭を持ってましたからね。
ある日、親父がこうやって目ぇつぶってこうやって拝んでるとこへ行って、「ねえ、おとうちゃん、天皇陛下はウンコするの?」っつったら、いきなりバッカーンと殴られた(笑)。

(落語家・柳家小三治)

アイドル・中井りかの、おもいついたことをすべて口するような無防備さをよく表した場面ではないだろうか。父親は天皇陛下に対する侮辱で息子を殴ったというよりも、口にすべきではないことをあっさりと口にしてしまう、その純粋さと無防備さに腹が立ったのではないか。日本人として当たり前に備わっているはずの言葉への美意識の欠如を憂いたのではないか。

ライブでの表現力、映像作品での表現力については、アイドル・中井りかに「資質」を投げつけられたことはまだ一度もない。圧倒的に経験不足。まだまだひよっこである。彼女と同時代を生きるアイドル、向井地美音、宮脇咲良と並ぶ時、中井の小柄な容姿がさらにひとまわり小さく感じてしまうのは、アイドルとして彼女たちとおなじフィールドに立ち、その存在感に圧倒されてしまった中井の潜在意識が浮き彫りになるからであろう。一方で、宮脇や向井地といったトップアイドルを圧倒する平手友梨奈や大園桃子、いわゆる”天才”のアンチ・テーゼ=特効薬として機能する人物に「アイドル」の枠組みからはみ出る中井りかの名が挙げられるのだから、面白い、興味の尽きない人物と云える。

 

総合評価 58点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 13点 ライブ表現 11点

演劇表現 5点 バラエティ 15点

情動感染 14点

NGT48 活動期間 2015年~

評価更新履歴
2018/10/09 演劇表現 4→5
2018/11/21 情動感染 12→14

評価点数の見方