乃木坂46 岡本姫奈 評判記

「defy the odds」
岡本姫奈、平成15年生、乃木坂46の第五期生。
たとえば、ファンを辟易させるほどのこだわりをもって「バレエ」を「アイドル」に奪胎していく姿勢にあきらかなように、アイドルを演じることの気鋭において、その踊りはもちろん、ビジュアル、演技、多様性についても申し分のないアイドルなのだが、ほとんど話題にならず、人気に乏しいのはなぜだろう。
その一端を述べれば、欲の見え難さ、ということになるだろうか。笑顔は奔放的で、魅力的である。音楽のなかでは、日常の余勢を忍んで、ストイックな、沈鬱な表情を描くことが多い。いずれにしても、そこに人として、あるいはアイドルとして当然にもつべき「欲」を見ることがない。有名になりたいだとか、高価な服を着たいだとか、それらを手に入れるために誰かを蹴落とそうとする、そういった欲求、人間のどうしようもない部分、しかし若者を夢に大きく飛翔させるパンクな部分を、デビューと同時に卑劣な一面としてさらけ出してしまったことで、アイドルであるうちにそれを露出することはもう絶対にあり得ないのだとする制限を設けてしまったのだろうか。その損得をはかる意識が、この人をアートから遠ざけているかに見える。身内に宿していたであろう欲を、なにものかを作り上げることの原動力にすることができない、その制約が、アイドルを平板に仕上げてしまっている。
裏を返せば、こと乃木坂にあっては、ヴィルトゥスを欠いた少女であると一度でも見なされてしまえば、その後どのように立居振舞ってもブレイクを果たすことはできない、つまり逆転の光景を期待することは叶わないという無力感が伏在していることを、岡本はその身をもって証しているのだ。
総合評価 58点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 13点 ライブ表現 12点
演劇表現 14点 バラエティ 12点
情動感染 7点
乃木坂46 活動期間 2022年~