櫻坂46(欅坂46) 渡辺梨加 評判記

欅坂46

渡辺梨加 (C) 欅坂46公式サイト

「もう一方の天才」

渡辺梨加、平成7年生、櫻坂46(欅坂46)の第一期生。
一言で云ってしまえば”天才”なのだが、この大仰な表現が決して過褒にはならないアイドルを挙げるならば、それは乃木坂46大園桃子と、この渡辺梨加の2名になるのではないか。両者に共通するのは、デビューした段階で、虚構つまりウソを作ることがアイドルをつくることになる、という、その条件を曖昧にしたままアイドルであることを成立させてしまった点にある。自己を偽ることに徹底した拒否感を示す大園に比して、渡辺梨加の場合、たとえば江國香織の小説のような、狂い咲くイノセントワールドの確立、が大きな要因になるだろうか。
普段は無口で、エントロピーの極端に低いアイドルを演じるが、感情が高揚し、アイドルを演じる過程で作り出した、ほとんどウソの皮膜を持たない虚構という倒錯の内奥に隠した強烈な野心と虚栄心が剥き出しになるとき、心の底に降り積もった欲のすべてが発散される。その、人物の生来の鮮やかさは、アイドルを演じる人間だけが持ち得る「素顔」をあらわにする。ファンは、明徴なカタルシスを得ることになる。
『サイレントマジョリティー』において大人への反抗を歌って以来、欅坂46が打ち出してきたそのアイドルの特性に、けして染まることなく、あくまでも渡辺自身が描く日常のヌエ的イメージにグループそのものが歩み寄るという、その希求力、なにものにも左右されない才能の大きさには、もはや、ひれ伏すしかない。

 

総合評価 77点

アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

(評価内訳)

ビジュアル 16点 ライブ表現 11点

演劇表現 18点 バラエティ 16点

情動感染 16点

欅坂46 活動期間 2015年~2021年