欅坂46 今泉佑唯 評価

欅坂46

今泉佑唯 (C) peachy/LINE Corporation

「普段は開ける事のない抽斗の奥から引っ張り出してきたような微笑だった」


きわめてエモーショナルなアイドルである。キュートなビジュアルの持ち主であったが、ある段階を踏み越えてからは、そこにヴァルネラブルの存在が露出し、何とも形容し難い色っぽさを抱えるアイドルに成長した。アイドルが成長をする場面とは、往々にしてアイドル自身が意図しない出来事(真っ暗闇のトンネルを駆け抜けるような出来事)を経た時である。今泉佑唯が魅せるその表情は耽美主義に属する美ではない。それは、生まれながらに授かっていた美が、内側に隠れていた美が、心に傷を負った際に、その傷口からにじみ出てしまった美である。
「完全な美しさというものは、生まれつきそなわっていて、とりわけ当人がそれを意識しない場合には、こういう効果を生むものなのだ」(*1)

「美」の成熟過程は、アイドルを応援するうえでの一つの醍醐味であり、高い評価を獲得する物語でもある。今泉佑唯が時折覗かせる「空想の翼」をもぎとるような強張った微笑は、観る者にある種の現実感を与える。唐突に現実に引き戻された人間は怒り、戸惑う。今泉は、その美貌を抱えたばかりに、アイドルという虚構の世界に身を置く限り、そういった剥き出しになった感情と常に向き合い、闘い、許容しなければならない宿命を負う。
一方で、ファンにも勿論、ある種の覚悟が要求される。今泉佑唯に、何かを伝えると、それがどれだけ優しさに包まれた言葉であっても、彼女を深く傷つけてしまうかもしれない、毀れてしまうかもしれない。ファンはそれを自覚しなければならない。でも、それでもそこに触れてみたいと想わせる、赤い非常ボタンのような存在。そんな空気感を纏った女性である。「相手の心にふれるといっても、これを傷つけないではすまない」(*2)、そんなアイドルである。

 

総合評価 75点

アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

(評価内訳)

ビジュアル 18点 ライブ表現 16点

演劇表現 12点 バラエティ 13点

情動感染 16点

 

欅坂46 活動期間 2015年~
見出し:引用 村上春樹「1Q84」
(*1)(*2)スタンダール「赤と黒」

評価点数の見方