欅坂46 今泉佑唯 評価

今泉佑唯 (C) peachy/LINE Corporation

「赤と黒」

「あなたは聖人ねソレルさん」と、相手はますます関心のほどを見せていった。「こんな舞踏会やお祭り騒ぎを、まるで哲学者みたいに眺めてらっしゃるのね、ジャン=ジャック・ルソーみたいに。こんな気違い沙汰をごらんになっても、あきれるだけで、おもしろくはないんでしょう」

スタンダール/赤と黒/訳 小林正

今泉佑唯は欅坂46オープニンメンバーであり、きわめてエモーショナルなアイドルである。キュートなビジュアルの持ち主であったが、ある段階を踏み越えてからは、ヴァルネラブルの存在が露出し、何とも形容し難い色っぽさを抱えるアイドルに成長した。アイドルが成長をする場面とは、往々にしてアイドル自身が意図しない出来事(真っ暗闇のトンネルを駆け抜けるような出来事)を経た時である。今泉佑唯が魅せるその表情は耽美主義に属する美ではない。それは、生まれながらに授かっていた美が、内側に隠れていた美が、心に傷を負った際に、その傷口からにじみ出てしまった美である。「完全な美しさというものは、生まれつきそなわっていて、とりわけ当人がそれを意識しない場合」、季節の記憶となるような「効果」を生むことになる。(*1)

美の成熟過程は、アイドルを応援するうえでの一つの醍醐味であり、高い評価を獲得する物語でもある。聖人を『白痴』として、赤色と黒色で描いたのがドストエフスキーだが、今泉もまた、赤と黒を抱え込む登場人物である。今泉佑唯が時折覗かせる「空想の翼」をもぎとるような強張った微笑は、彼女の物語を読む者の「心から幻想」を追い払い、ある種の現実感を与える。唐突に現実に引き戻された人間は怒り、戸惑うものだ。今泉は、その”美”を抱えたばかりに、アイドルという虚構の世界に身を置く限り、観者の剥き出しにされた感情と常に向き合い、闘い、許容しなければならない宿命を負う。一方で、ファンにも勿論、ある種の覚悟が要求される。今泉佑唯に、想いを伝えると、それがどれだけ優しさに包まれた言葉であっても、彼女を深く傷つけてしまうかもしれない、毀れてしまうかもしれない。ファンはそれを自覚しなければならない。でも、それでも彼女の”核”に触れてみたいと想わせる、赤い非常ボタンのような存在。そんな空気感を纏った女性である。「相手の心にふれるといっても、これを傷つけないではすまない」、そんなアイドルである。(*2)

 

総合評価 67点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 15点 ライブ表現 13点

演劇表現 12点 バラエティ 13点

情動感染 14点

欅坂46 活動期間 2015年~

引用:(*1)(*2)「」、スタンダール/赤と黒/訳 小林正

評価点数の見方