けやき坂46 濱岸ひより 評価

けやき坂46

 

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「約束の卵」

 

胴体と四肢の距離感、柔軟性を伴ったバランス感覚が作り上げるキャラクター。まだ15歳の少女。心の揺きがそのまま四肢の動きとなって表情がつくられていく。頼りない虚構(もう一つの世界)の中に映し出される「アイドル」の目線の先を追うと、センターポジションが憧憬ではなく、約束された場所のように海と空の中間に浮かんでいる。

濱岸ひよりのピュアさは、けやき坂46というグループに対して渦巻く、内外の感情に対する一種のトランキライザーとして機能している、とつよく感じる。大仰に云えば、誰とでも、どのような条件下においても、柔軟に止揚してしまえる存在。河田陽菜と。今泉佑唯と。融合というよりも、止揚する。
このピュアさが北川綾巴や一色嶺奈のように、殻を固くして内に籠もるような「俯き」には向かわずに、生田絵梨花がみせた無垢なユーモアへとかたちづくられたのは、彼女の馴致された物理的な柔軟性と、彼女が置かれた(現代アイドルとして)幸運な境遇に因るのだろう。もちろん、この「ピュア」という魔法の力は、アイドルとして成熟していく過程で彼女の中から損なわれることが、すでに決定付けられている。それがどのようなカタチをとって訪れるのか。

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年にならなくちゃいけないんだ。なにがあろうとさ。(略)そしてもちろん、君はじっさいにそいつをくぐり抜けることになる。そのはげしい砂嵐を。形而上的で象徴的な砂嵐を。でも形而上的であり象徴的でありながら、同時にそいつは千の剃刀のようにするどく生身を切り裂くんだ。何人もの人たちがそこで血を流し、君自身もまた血を流すだろう。温かくて赤い血だ。君は両手にその血を受けるだろう。それは君の血であり、ほかの人たちの血でもある。そしてその砂嵐が終わったとき、どうやって自分がそいつをくぐり抜けて生きのびることができたのか、君には理解できないはずだ。(略)でもひとつだけはっきりしていることがある。その嵐から出てきた君は、そこに足を踏みいれたときの君じゃないっていうことだ。

村上春樹「海辺のカフカ」

15歳という年齢は人間(アイドル)にとってどのような意味(宿命)をもつだろうか。「15歳」というトンネルの中で遭遇をする、息を抜く暇もない緊張感、個人的な体験は数多くのアイドルを隘路へと導いてきた。与田祐希のように生来の透明さを壁に投げ捨てるタイプ。早坂つむぎのように人生の岐路とするタイプ。トンネルをくぐり抜けた後に確立されるアイデンティティはアイドルとしての人生を大幅に左右するほどの影響力をもっている。

佐野遥の項で述べた、「ひとりよりもふたり」というコンテンツ。濱岸ひよりにとって、このコンテンツが物語の中軸として書かれるのは、もうすこしだけ後になるだろう。おそらく、第三期生との交錯によって生まれるのではないか。センターポジションへの高い適性と期待感は、未だ見ぬ「彼女たち」との時間の流れのなかで(砂嵐のなかで)満たされるのだと想像する。

 

総合評価 60点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 12点 ライブ表現 13点

演劇表現 8点 バラエティ 14点

情動感染 13点

けやき坂46 活動期間2017年~
評価点数の見方