AKB48 宇佐美友紀 評価

AKB48

宇佐美友紀(C)株式会社nemo/AKS

「桜の花びらたち」

宇佐美友紀、昭和59年生、AKB48の第一期生。
グループアイドルにおいて”最年長”という立場、役割、キャラクターを与えられてしまったメンバーの憂鬱は暗く深い。平成が終わり、令和が始まった現在(いま)、柏木由紀白石麻衣新内眞衣といったアイドルとしてはきわめて成熟した人物がアイドルシーンの最前線で闘っている事実からアイドルのあり方にあたらしい局面がおとずれている、と云えるが、すこしだけ時代を遡れば、岩瀬佑美子深川麻衣など”最年長”の役割に自縛されたアイドルの物語に打つかる。
AKB48、第一期生・宇佐美友紀。AKB48グループにおける最初の卒業生である彼女もまた、”アイドル”という架空の世界の扉をひらいたその瞬間から”最年長”を余儀なくされた登場人物である。AKB48のアイドルとそのファンに”卒業”に対する情動を、何か大切なものを失うことを恐れたり不安に思う気持ちを”はじめて”経験させた人物。当たり前に存在していたものが、当たり前のように消えていく世界の輪郭を”はじめて”描いたアイドルである。

アイドルにとって”年齢”が重くのしかかるのは、ファンとの成長共有に向けた距離感などではなく、青春の犠牲がつくる儚さの厚みにあるのだろう。「同じ制服着た仲間たちが」、まだ少女だった仲間たちが「大人に見え」た瞬間、”最年長”である自分が身にまとう制服との乖離に憂鬱になる。作詞家・秋元康から贈られる詩が等身大のものとなって自己に降りかかり、詩的責任が果たされていく少女たち。「思い出のその分だけ美しく」希望に輝く少女たち。それを眺め、微笑む作詞家。それを目の当たりにした宇佐美の感慨とは、”最年長”の自分がそのどちらにも属さない、という自覚ではないか。「桜の花びらたちが咲く頃」、それを遠くの部屋の窓から眺めている自分を自覚する。「はらはら」と降り積もる「涙の花びらたち」、自分も”彼女たち”と同じ場所で涙を流しているのに、流す涙の意味が違っていることに気がつく。楽屋裏で抱きしめる「涙の花びらたち」を愛おしくさえ想う。そのような俯瞰を自覚した時点でアイドルとして闘うことはむずかしい。「階段」を「一緒に登って手を振ろう」という約束を果たすことは不可能になる。アナウンサーやナレーターへの夢を叶えるために5ヶ月というみじかい期間で虚構の扉を閉じた宇佐美友紀の物語は、当時、転向と呼ぶよりもモラル・ハザードとして捉えられたが、この”元アイドル”として生きていくことになった人間に投げつけられる感情についても、それをファンに”はじめて”経験させた人物と云えるだろう。*1

 

総合評価 39点

アイドルの水準に達していない人物

(評価内訳)

ビジュアル 8点 ライブ表現 7点

演劇表現 6点 バラエティ 8点

情動感染 10点

AKB48 活動期間 2005年~2006年

引用:*1 秋元康/桜の花びらたち

   

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