AKB48 谷口めぐ 評判記

AKB48

谷口めぐ(C)オリコンニュース

「AKB48の消長を問う登場人物」

谷口めぐ、平成10年生、AKB48の第十五期生。
デビューからすでに8年以上経つ。若手や次世代と扱うことはできない。旬を過ぎてしまったかもしれない。2017年以降は卒業の噂も絶えないようだ。だが依然としてグループのホープであることに変わりはないだろう。同期には大和田南那佐藤妃星福岡聖菜と逸材が並ぶ。また、総監督を務める向井地美音もいる。大和田の自己破滅、佐藤や福岡の資質減衰、向井地のエース・ポジションからの減退に比して、谷口はここにきて大きな飛翔を描きつつある。純正AKB48へと回帰した『根も葉もRumor』においてようやく「選抜」のイスを手に入れた。その苦難と希望に満ちたアイドルのストーリー展開からも、「令和」に踏み込んだAKB48にとってのフラグシップは彼女になるのではないか。
やはりまず、このひとはビジュアルが抜群に良い。美しく、人懐っこく、愛嬌があって、非日常的な甘美さの内に身近なものを感じさせる、不思議な空気感を持っている。ステージの上では眼光鋭く、力強い生彩を放っている。また、彼女は演技もできる。舞台の上で描き出す表情はなかなかにソリッドである。もちろんそれは裏を返せば、他者の想像力によって作られた世界への警戒心、つまりある種の無防備さの現れなのだろう。彼女の演劇の特徴とは、舞台装置の上で常に何か物語の外に落ちているものを横目で気にするような、他の登場人物たちとの関係から浮いた、雑多な現実を忘れることができない生身さにある。日常の素顔を舞台の上でこぼしている、と表現できるかもしれない。だがその才走った表情には、たしかに、物語の主人公として描かれるべき宿命のようなものを見出す。大人に囲まれた世界で日々成長を記しているけれど、どこかイノセンスを捨てきれずにいる、という点こそ谷口めぐのアイドルとしての魅力と云えるだろうか。
ビジュアル、ライブ表現力、演劇表現力、多様性…、とグループアイドルを組み立てるステータスのあらゆる観点において平均を凌ぎ、シーンの表通りを闊歩する乃木坂46にもっとも距離が近い存在に映る。AKB48を透過させ乃木坂46を映し出すとき、谷口めぐの横顔はそこにはっきりと輪郭を残す。この逸材がデビューから8年間表題曲の歌唱メンバーに選抜されなかった、という点こそAKB48の混迷っぷりを証し立てている。

 

総合評価 67点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 15点 ライブ表現 13点

演劇表現 13点 バラエティ 13点

情動感染 13点

AKB48 活動期間 2013年~

 

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