AKB48 篠田麻里子 評判記

AKB48

篠田麻里子(C)音楽ナタリー

「エポック・アイドル」

篠田麻里子、昭和61年生、AKB48の1.5期生。6代目センターであり、「神7」のメンバー。
「会いに行けるアイドル」というコンセプトを掲げ、そのとおりアイドルとファンの距離感の消滅に成功しヒットしたAKB48にあって、篠田麻里子は特別な「距離感」を築き上げている。
音楽のなかにあっても、日常においても、接近することに緊張感を強いるアイドルであり、緊張感ゆえに、アイドルから遠く離されてしまった、という孤独感と、アイドルに近づきすぎてしまった、という”ためらい”を、交互にファンに与えるような、エポックな刺激を篠田はもっている。
その「緊張感」はまた、アイドルの順位闘争をフィクションへと仕上げる筆致、闘争を美しいものとして映し出す作家性を育んだようでもある。デビューしたばかりの若手アイドルが、人気の面において中堅・ベテランのメンバーをいともたやすく抜き去ってしまうことが常であるアイドルシーンにあって、最後まで人気者の座を譲ることなく、若手を挑発・鼓舞し続けた篠田の一貫したスタンスは、ファン、同業者を問わず、心を波立てた。たとえば松井珠理奈などは、この「闘争のフィクション化」に大きく熱意をあおられ、自己の演じるアイドルの糧にしている。
今日のアイドルシーンに立って眺めれば、劇的であったり、闘争心をむき出しにする行為はもはや時代錯誤の産物でしかないのだが、それだけになお、篠田麻里子の魅力に接近するには高い緊張感にプラス感応力が求められる。

 

総合評価 73点

アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

(評価内訳)

ビジュアル 14点 ライブ表現 13点

演劇表現 14点 バラエティ 16点

情動感染 16点

AKB48 活動期間 2005年~2013年